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ccRCCでTBK1を遮断する方法
A way to block TBK1 in ccRCC
SCIENCE SIGNALING
27 Feb 2024 Vol 17, Issue 825
[DOI: 10.1126/scisignal.ado8046]
Leslie K. Ferrarelli
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA.
Corresponding author. Email: lferrare@aaas.org
L. Hu, Y. Zhang, L. Guo, H. Zhong, L. Xie, J. Zhou, C. Liao, H. Yao, J. Fang, H. Liu, C. Zhang, H. Zhang, X. Zhu, M. Luo, A. von Kriegsheim, B. Li, W. Luo, X. Zhang, X. Chen, J. T. Mendell, L. Xu, P. Kapur, A. S. Baldwin, J. Brugarolas, Q. Zhang, Kinome-wide siRNA screen identifies a DCLK2-TBK1 oncogenic signaling axis in clear cell renal cell carcinoma. Mol. Cell 84, 776-790.E5 (2024).
TBK1キナーゼ活性のドライバーを標的にすることで腎臓腫瘍の増殖を遅らせることができる可能性がある。
腎淡明細胞がん(ccRCC)は腎臓がんの一般的なタイプであるが、治療法の選択肢はほとんどない。キナーゼTBK1は、ccRCC細胞の増殖と転移の進行に重要な媒介因子である。残念ながら、実験で用いられるTBK1阻害剤は非選択的であり、患者のTBK1を標的にすると有害な免疫抑制を引き起こす可能性がある。Huらは、ccRCC細胞において、治療の標的となり得るTBK1の上流活性化因子を発見した。ccRCC細胞におけるキノームワイドのRNA干渉スクリーニングにより、TBK1に結合してリン酸化するキナーゼDCLK2が同定された。ccRCC細胞でDCLK2を枯渇させると、培養細胞においてTBK1活性化と増殖が減少し、マウスにおいて同所性異種移植片の増殖が阻害された。ccRCC検体では、DCLK2のいくつかのアイソフォームが同定された。DCLK2203は他のものよりも存在量と活性が高く、TBK1をリン酸化した。DCLK2203を過剰発現させると、マウスにおけるccRCC異種移植片の増殖が増加した。DCLK2の選択的阻害剤は現在存在しない。しかしながら、DCLK2は他の種類のがんの転移進行に関与していると考えられており、臨床的に使用可能な阻害剤を開発する取り組みは、ccRCC患者を超えた幅広いがん患者グループに利益をもたらす可能性があることを示唆している。