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ニューロン・腫瘍間シナプスが膵管腺がん(PDAC)を駆動する

Neuron-tumor synapses drive PDAC

Editors' Choice

SCIENCE SIGNALING
13 Jan 2026 Vol 19, Issue 920
DOI: 10.1126/scisignal.aef2650

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA.

Corresponding author. Email: lferrare@aaas.org

A. C. Restaino, M. Ahmadi, T. Eichwald, A. R. Nikpoor, A. Walz, M. Balood, S. Talbot, P. D. Vermeer, Tumor-infiltrating nociceptor neurons promote immunosuppression. Sci. Signal. 18, eads7889 (2025).

L. Boyd, J. C. Borniger, Tumor-derived small extracellular vesicles reprogram sensory nerves to drive immunosuppression in the tumor microenvironment. Sci. Signal. 18, eady6769 (2025).

L. Ren, C. Liu, K. Çifcibaşı, M. Ballmann, G. Rammes, C. M. Reyes, S. Tokalov, A. Klingl, J. Grünert, K. Goyal, P. H. Neckel, U. Mattheus, B. Schoeps, S. E. Yıldızhan, O. U. Sezerman, N. C. Cevik, E. A. Sever, D. Karakas, O. Safak, K. Steiger, A. Muckenhuber, K. Görgülü, Z. Chen, J. C. Zhang, L. Ye, M. I. M. Ali, V. K. Tiwari, N. Romanyuk, F. Giesert, D. Saur, R. Rad, R. M. Schmid, H. Algül, A. Krüger, H. Friess, G. O. Ceyhan, R. Istvanffy, I. E. Demir, Sensory neurons drive pancreatic cancer progression through glutamatergic neuron-cancer pseudo-synapses. Cancer Cell 43, 2241-2258.e8 (2025).

X. Zhi, P. Zhang, T. C. Wang, Functional pseudo-synapses: A new nexus in extracranial cancer. Cancer Cell 43, 2181-2183 (2025).

ニューロンと膵腫瘍細胞との間のシナプスが発がん性のフィードフォワードとなるグルタミン酸シグナル伝達を調節する。

ニューロンは、腫瘍免疫監視を抑制するさまざまな分子を運ぶ小さな細胞外小胞を介して(たとえば、Science Signaling ArchiveのRestainoらの論文とBoydおよびBornigerによるコメンタリー参照)、または、腫瘍細胞において発がん性のシグナル伝達および代謝を刺激する神経伝達物質の分泌を介して、がんの増殖と転移に密接に関与しているという認識がますます強まっている。神経伝達物質であるグルタミン酸は、膵管腺がん(PDAC)の転移性の進行に関わる。Renらは、PDAC細胞と神経支配する感覚ニューロンとの間のシナプス様結合がグルタミン酸に駆動される腫瘍の増悪と神経支配のフィードフォワードループを調節することを明らかにした(Zhiらによるコメンタリー参照)。PDAC患者の腫瘍サンプルでは、グルタミン酸受容体(NMDAR)サブユニット(GluN2Dとしても広く知られる)をコードするGRIN2Dの発現が増加していた。培養PDAC細胞株では、L-グルタミン酸を添加するとGRIN2Dの発現が転写レベルで増加し、NMDAR活性に関連するCa2+流入が増加し、細胞の遊走と浸潤が促進された。さらに、がん細胞内のGRIN2D量の増加は神経支配ニューロン内のグルタミン酸輸送タンパク質量を増加させ、マウスの膵臓内のグルタミン酸量を増加させた。また、GRIN2Dが豊富な腫瘍では、パラクライン性の腫瘍からニューロンへのEGFRシグナル伝達に依存して軸索新生が誘導され、神経支配が増加した。透過型電子顕微鏡では、患者由来PDAC組織内のニューロン・腫瘍間の接点において、機能的シナプスを支える構造体であるシナプス前終末ボタンとシナプス後肥厚が豊富に存在することが明らかにされた。このようなシナプス様接点の数は、GRIN2Dの発現が欠損した腫瘍では減少していた。さらには、GRIN2Dを遮断、またはGRIN2Dの発現を抑制すると、PDACマウスモデルの生存率が改善された。これらの知見は、治療標的候補として、神経支配感覚ニューロンがPDAC細胞内の腫瘍を駆動するグルタミン酸感受性を刺激するフィードフォワードループを描写するものである。

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