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RNAが厄介な状況を生み出す

RNAs create a sticky situation

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
13 Feb 2024 Vol 17, Issue 823
[DOI: 10.1126/scisignal.ado4078]

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA.

Corresponding author. Email: wwong@aaas.org

N. Zhang, W. Tang, L. Torres, X. Wang, Y. Ajaj, L. Zhu, Y. Luan, H. Zhou, Y. Wang, D. Zhang, V. Kurbatov, S. A. Khan, P. Kumar, A. Hidalgo, D. Wu, J. Lu, Cell surface RNAs control neutrophil recruitment. Cell, S0092-8674(23)01443-5 (2024).

好中球上の糖化RNAが、血管内皮への接着と炎症部位への血管外遊走を可能にする。

炎症部位に到達するためには、好中球は血管内皮に接着してその上を転がったのちに、血管外に遊出して炎症組織に入らなければならない。Zhangらは、好中球表面の糖化RNAが、好中球の内皮への接着とローリングを可能にすることを見出した。チオグリコール酸の腹腔内注射またはLPSの鼻腔内投与により急性炎症を誘発したマウスにおいて、RNase Aで処理した好中球を注入すると、好中球は腹膜または肺に入らなかった。RNase A処理により、好中球は、培養内皮細胞層を横断して走化性因子fMLPに向かう遊走もできなくなったが、内皮細胞の非存在下でfMLPに向かって移動する能力には影響がなかった。RNase Aで処理した好中球は、頸動脈に注入したときに、精巣挙筋領域の血管内皮に接着する可能性が低く、接着した場合でもローリングを続ける可能性が低かった。好中球上の糖化RNAが内皮細胞に結合するには、これまでに好中球と内皮の結合の媒介に関与することが知られている接着分子であるP-セレクチンが必要であった。RNAは、RNAトランスポーターのSIDT1およびSIDT2を介して好中球表面に到達した。SIDT1およびSIDT2をノックダウンした好中球は、in vitroでは内皮細胞を通って遊出せず、チオグリコール酸投与マウスでは腹膜に動員されなかった。好中球細胞表面に提示されたRNAは、核にコードされる非コードRNA種の断片に相当する低分子RNAであった。したがって、好中球表面に提示される糖化RNAは、これらの細胞が血管内皮に接着し、その上を転がり、血管外に遊出し、炎症部位に動員されることを可能にしている。

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