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GAGによるがん細胞フェロトーシスの抑制
GAGging cancer cell ferroptosis
SCIENCE SIGNALING
24 Jun 2025 Vol 18, Issue 892
DOI: 10.1126/scisignal.adz8643
Annalisa M. VanHook
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: avanhook@aaas.org.
D. Calhoon, L. Sang, F. Ji, D. Bezwada, S.-C. Hsu, F. Cai, N. Kim, A. Basu, R. Wu, A. Pimentel, B. Brooks, K. La, A. P. Serrano, D. L. Cassidy, L. Cai, V. Toffessi-Tcheuyap, M. E. Moussa, W. Uritboonthai, L. T. Hoang, M. Kolli, B. Jackson, V. Margulis, G. Siuzdak, J. Brugarolas, I. Corbin, D. A. Pratt, R. J. Weiss, R. J. DeBerardinis, K. Birsoy, J. Garcia-Bermudez, Glycosaminoglycan-driven lipoprotein uptake protects tumours from ferroptosis. Nature 10.1038/s41586-025-09162-0 (2025).
グリコサミノグリカンが、がん細胞による抗フェロトーシス性リポタンパク質の取込みを可能にしている。
がん細胞はde novoの脂質合成を増強し、その活発な増殖を促進させている。さらにがん細胞は、低および高密度リポタンパク質(それぞれLDLおよびHDL)の形での細胞外脂質の取込みを増大させている。Calhoonらは、ヒトHDLまたはLDLの取込みが、各種培養がん細胞を、グルタチオンペルオキシダーゼGPX4の欠損または阻害により誘導される脂質過酸化およびフェロトーシスから保護することを見いだした。In vitro試験から、ビタミンEの生物学的活性型であるα-トコフェロールが、がん細胞における抗酸化作用および抗フェロトーシス作用を担っている主なHDLおよびLDL要素であること、さらに、マウスに皮下注入された数種のがん細胞株の増殖がビタミンE欠乏症により低下することが示された。がん細胞によるHDLの取込みと、その後の脂質過酸化およびフェロトーシスからの防御は、硫酸化したグリコサミノグリカン(GAG)に依存していた。またGAGはマウスにおいて、移植されたがん細胞を脂質過酸化から保護し、腫瘍増殖を促進していた。この実験に使用したがん細胞株の1種は、脂質の高い取込みと蓄積を特徴とする腎がんの1つである淡明細胞型腎細胞がん(ccRCC)であった。ccRCC患者から採取した検体では隣接する正常組織検体と比較し、α-トコフェロール量およびGAGコンドロイチン硫酸の量が高く、これはリポタンパク質の取込み、フェロトーシス耐性および予後不良と相関していた。患者由来ccRCC異種移植片モデルから単離した細胞では、硫酸化GAG分解酵素による処理後にLDLの取込みが低下し、GAG生合成酵素のノックダウン後に腎被膜に移植したとき、これらの細胞は増殖できなかった。これらの知見は、がん細胞においてGAG生合成を阻害したとき、フェロトーシスに対する細胞の感受性を高めることで患者転帰を改善できる可能性があることを示唆している。