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STIM1ではなくSTIM2の欠損が代謝リプログラミングとATF4 ERストレス経路を介して大腸がんの転移を促進する

Loss of STIM2, but not of STIM1, drives colorectal cancer metastasis through metabolic reprogramming and the ATF4 ER stress pathway

Research Article

SCIENCE SIGNALING
24 Jun 2025 Vol 18, Issue 892
DOI: 10.1126/scisignal.ads6550

Trayambak Pathak1, 2, 3, J. Cory Benson1, 2, 4, Martin T. Johnson5, Ping Xin1, 2, Ahmed Emam Abdelnaby1, 2, Vonn Walter6, 7, Walter A. Koltun8, Gregory S. Yochum9, 8, Nadine Hempel4, Mohamed Trebak1, 2, 4, *

  1. 1 Department of Pharmacology and Chemical Biology, University of Pittsburgh School of Medicine, Pittsburgh, PA 15213, USA.
  2. 2 Vascular Medicine Institute, University of Pittsburgh School of Medicine, Pittsburgh, PA 15213, USA.
  3. 3 Department of Interdisciplinary Oncology, Louisiana Cancer Research Center, Louisiana State University Health Sciences Center, New Orleans, LA 70112, USA.
  4. 4 UPMC Hillman Cancer Center, University of Pittsburgh School of Medicine, Pittsburgh, PA 15213, USA.
  5. 5 Department of Medicine, Emory University School of Medicine, Atlanta, GA 30322, USA.
  6. 6 Department of Public Health Sciences, Pennsylvania State University College of Medicine, Hershey, PA 17033, USA.
  7. 7 Penn State Cancer Institute, Pennsylvania State University College of Medicine, Hershey, PA 17033, USA.
  8. 8 Department of Surgery, Division of Colon and Rectal Surgery, Pennsylvania State University College of Medicine, Hershey, PA 17033, USA.
  9. 9 Department of Biochemistry and Molecular Biology, Pennsylvania State University College of Medicine, Hershey, PA 17033, USA.
  10. * Corresponding author. Email: trebakm@pitt.edu

Editor's summary

転移が起こると、大腸がん(CRC)の予後は不良である。Pathakらは、CRCにおけるER Ca2+センサーSTIM2の欠損が、患者の予後不良と相関し、マウスでは異種移植片の進行と転移の両方を増強することを見出した。STIM2欠損は、ER Ca2+量の増加、ERストレス転写因子ATF4に依存する転写リプログラミングおよび代謝再配線、ミトコンドリアリモデリングと関連した。これらの作用は、STIM2欠損に特異的であり、ストア作動性Ca2+流入におけるその役割とは関係がなく、構造的および機能的に相同なSTIM1の欠損によって再現されなかった。したがって、STIM2欠損は悪性度がより高いCRCのバイオマーカーとなる可能性がある。—Wei Wong

要約

小胞体(ER)に貯蔵された大量のカルシウム(Ca2+)と、このCa2+ストアの細胞質への制御された放出は、多くの細胞機能を調節しており、ER Ca2+恒常性の変化はERストレスを誘発する。間質相互作用分子1および2(STIM1/2)は、相同なER常在性のCa2+センサーであり、Oraiチャネルを介する細胞質へのCa2+流入を相乗的に活性化し、遺伝子発現のCa2+依存性の変化とER Ca2+補充を促進する。今回、われわれは、STIM2量の減少が大腸がん(CRC)の予後不良に関連するが、STIM1にはそのような関連は認められないことを示した。STIM2欠損CRC細胞では、ER Ca2+ポンプであるSERCA2に依存したER Ca2+量の増加、タンパク質翻訳に関連する遺伝子の発現増加、転写および代謝再配線が認められた。CRC異種移植片ではSTIM2欠損により、腫瘍サイズ、浸潤および転移が増加した。STIM2欠損により、シャペロンBiPと転写因子ATF4に依存し、かつOraiチャネルには依存しない形で、ERストレス応答に関与する遺伝子の発現が活性化した。これらの結果から、STIM2の欠損は、CRCの予後に関する情報を提供する可能性が示唆される。

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