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PKCηのミスセンス変異はゴルジ体に限局したシグナル伝達を増強し、潜性遺伝性の家族性アルツハイマー病に関連する

A PKCη missense mutation enhances Golgi-localized signaling and is associated with recessively inherited familial Alzheimer’s disease

Research Article

SCIENCE SIGNALING
1 Jul 2025 Vol 18, Issue 893
DOI: 10.1126/scisignal.adv0970

Maria Celeste Gauron1, †, Dmitry Prokopenko2, 3, †, Sanghun Lee4, 5, †, Sarah A. Wolfe1, Julian Hecker3, 6, Julian Willett2, 3, Mohammad Waqas2, Gema Lordén1, Yimin Yang1, Joshua E. Mayfield1, Isabel Castanho3, 7, Kristina Mullin2, Sarah Morgan7, 8, Georg Hahn5, Dawn L. Demeo3, 6, Winston Hide3, 7, Lars Bertram9, 10, Christoph Lange3, 5, Alexandra C. Newton1, *, Rudolph E. Tanzi2, 3, *

  1. 1 Department of Pharmacology, University of California, San Diego, La Jolla, CA 92093-0721, USA.
  2. 2 Genetics and Aging Research Unit and the McCance Center for Brain Health, Department of Neurology, Massachusetts General Hospital, Charlestown, MA 02129, USA.
  3. 3 Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
  4. 4 Department of Medical Consilience, Graduate School, Dankook University, Yongin-si, 16890, South Korea.
  5. 5 Department of Biostatistics, Harvard T. H. Chan School of Public Health, Boston, MA 02115, USA.
  6. 6 Channing Division of Network Medicine, Brigham and Women’s Hospital, Boston, MA 02115, USA.
  7. 7 Department of Pathology, Beth Israel Deaconess Medical Center, Boston, MA 02115, USA.
  8. 8 Blizard Institute, Department of Neuroscience, Surgery and Trauma, Queen Mary University of London, London E1 4NS, UK.
  9. 9 Lübeck Interdisciplinary Platform for Genome Analytics, Institutes of Neurogenetics and Cardiogenetics, University of Lübeck, 23562 Lübeck, Germany.
  10. 10 Center for Lifespan Changes in Brain and Cognition, Department of Psychology, University of Oslo, 0373 Oslo, Norway.
  11. † These authors contributed equally to this work.
  12. * Corresponding author. Email: anewton@health.ucsd.edu (A.C.N.); tanzi@helix.mgh.harvard.edu (R.E.T.)

Editor's summary

キナーゼのPKCηは脳のグリア細胞に豊富に存在し、家族性アルツハイマー病(AD)のマウスモデルでは神経炎症性グリアにおいて活性化される。Gauronらは、家族性ADのデータベースを解析し、PKCηにおけるミスセンス変異K65Rが、遺伝子の潜性遺伝(劣性遺伝)性リスクバリアントと強い連鎖を示すことを見出した。この変異は、PKCηの生化学的活性を大きく変化させるのではなく、ゴルジ体に集中させ、それによってキナーゼのインタラクトームを変化させた。今後の研究において、このキナーゼまたはその相互作用の変化を標的とすることが、バリアント保有者に対する治療候補となるかどうかが検討されるであろう。—Leslie K. Ferrarelli

要約

アルツハイマー病(AD)関連ゲノムバリアントの同定により、疾患の病因に関する有力な洞察がもたらされている。ADのゲノムワイド関連解析(GWAS)は、これまで明らかにされていなかった標的を同定することに成功しているが、ほぼ例外なく、加法遺伝モデルを用いている。今回、われわれは、ADに罹患した家族の全ゲノムシークエンシングを用いて、潜性遺伝モデルの家族ベースGWASを実施した。ADのリスクと、プロテインキナーゼCエータ(PKCη)をコードするPRKCH遺伝子のイントロンに位置するバリアントrs7161410との間に関連が見出された。さらに、まれなPRKCHミスセンス変異であるK65Rが、rs7161410と連鎖不平衡にあり、rs7161410リスクアレルのホモ接合体保有者に認められた。In vitro解析では、精製バリアントの触媒反応速度、脂質依存性およびペプチド基質結合は、野生型キナーゼのそれらの性質と区別がつかなかった。しかし、細胞での検討では、K65R PKCηバリアントは細胞質活性が低下しており、代わりにゴルジ体での局在化とシグナル伝達が増強されていることが明らかになった。さらに、K65Rバリアントは、トランスフェクトした細胞において、とくに小胞輸送などのゴルジ体過程に関与するタンパク質との相互作用ネットワークが変化していた。ヒト脳組織では、rs7161410のADに関連する潜性遺伝子型が、とくに扁桃体におけるPRKCHの発現増加に関連した。このような異常なPKCηシグナル伝達とADの関連と、その機能が変化する機構に関する洞察は、予防と治療のためのこれまで明らかにされていなかった治療標的につながる可能性がある。

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2025年7月1日号

Research Article

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