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- USP5はFcεRIγを脱ユビキチン化して安定化させ、IgEに誘導されるマスト細胞の活性化とアレルギー性炎症を促進する
USP5はFcεRIγを脱ユビキチン化して安定化させ、IgEに誘導されるマスト細胞の活性化とアレルギー性炎症を促進する
USP5 deubiquitylates and stabilizes FcεRIγ to enhance IgE-induced mast cell activation and allergic inflammation
SCIENCE SIGNALING
29 Jul 2025 Vol 18, Issue 897
DOI: 10.1126/scisignal.adr3411
Zi-Wen Zhou1, †, Xue-Ting Xu1, †, Qiu-Ni Liang2, †, Yan-Mei Zhou1, Wan-Zhen Hu3, Shan Liu1, Yu-Xin Jiao1, Shu-Chen Zhang4, *, Kunmei Ji1, *, Jia-Jie Chen1, *
- 1 Department of Biochemistry and Molecular Biology, School of Basic Medical Sciences, Shenzhen University Medical School, Shenzhen University, Shenzhen, China.
- 2 First Affiliated Hospital of Shenzhen University, Shenzhen Second People’s Hospital, Shenzhen, China.
- 3 Shenzhen University General Hospital, Shenzhen, China.
- 4 Department of Allergy, Zhongnan Hospital, Wuhan University, Wuhan, China.
- † These authors contributed equally to this work.
- * Corresponding author. Email: zsch.alexis@hotmail.fr (S.-C.Z.); jkm@szu.edu.cn (K.J.); chenjj@szu.edu.cn (J.-J.C.)
Editor's summary
アレルギー反応は、マスト細胞表面の受容体FcεRIに結合したIgEが抗原によって架橋されると刺激される。アレルギー疾患とアナフィラキシーを治療するためにIgE-FcεRI相互作用を直接の治療標的とすることは、これまで難しい課題であった。Zhouらは、マウスのマスト細胞において、IgE-FcεRIシグナル伝達がユビキチン特異的プロテアーゼUSP5を刺激することにより、FcεRIγサブユニットを脱ユビキチン化してその安定性を高め、アレルギー反応を延長させることを明らかにした。マウスにおいて、USP5をノックダウンまたは阻害すると、マスト細胞の活性化とアレルギー反応が減弱されたことから、USP5を標的とすることによって、アレルギー疾患治療の代替戦略が提供される可能性がある。—John F. Foley
要約
高親和性免疫グロブリンE(IgE)受容体(FcεRI)に結合したIgEが抗原に媒介されて凝集すると、マスト細胞の活性化とアレルギー性炎症が引き起こされる。本稿でわれわれは、IgEに媒介されるマスト細胞の活性化とマスト細胞におけるFcεRIγの安定性の調節においてユビキチン特異的プロテアーゼ5(USP5)が担う役割を調べた。そして、マウスにおいてUSP5をノックダウンすると、IgEに誘導されるマスト細胞からのβ-ヘキソサミニダーゼおよびヒスタミンの放出が阻害され、アレルギー性炎症が減弱されることを明らかにした。USP5はマスト細胞においてFcεRIγと相互作用し、FcεRIγの脱ユビキチン化と安定化を引き起こした。さらに、USP5はFcεRIγのK48結合ポリユビキチン化を失わせた。マスト細胞またはHEK293T細胞においてUSP5をノックダウンさせると、E3ユビキチンリガーゼCbl-bのFcεRIγへの結合が促進され、FcεRIγのポリユビキチン化と分解の増加が引き起こされた。USP5阻害薬WP1130は、マウスにおいてIgEに媒介されるマスト細胞の活性化とアレルギー性炎症を減弱させた。まとめると、これらの知見は、マスト細胞においてUSP5を介したFcεRIγ安定性調節の分子機構を説明し、IgE/FcεRIに媒介されるアレルギー疾患を治療するための創薬標的としてUSP5-FcεRIγ軸を同定するものである。