• ホーム
  • GPCRキナーゼはその細胞内局在に応じて偏向性のCXCR3下流シグナル伝達を差次的に調節する

GPCRキナーゼはその細胞内局在に応じて偏向性のCXCR3下流シグナル伝達を差次的に調節する

GPCR kinases differentially modulate biased signaling downstream of CXCR3 depending on their subcellular localization

Research Article

SCIENCE SIGNALING
13 Feb 2024 Vol 17, Issue 823
[DOI: 10.1126/scisignal.add9139]

Julia Gardner1, †, Dylan Scott Eiger2, †, Chloe Hicks1, Issac Choi3, Uyen Pham2, Anand Chundi4, Ojas Namjoshi5, ‡, Sudarshan Rajagopal2, 3, *

  1. 1 Trinity College, Duke University, Durham, NC 27710, USA.
  2. 2 Department of Biochemistry, Duke University, Durham, NC 27710, USA.
  3. 3 Department of Medicine, Duke University, Durham, NC 27710, USA.
  4. 4 Pratt School of Engineering, Duke University, Durham, NC 27710, USA.
  5. 5 Center for Drug Discovery RTI International, Research Triangle Park, NC 27709, USA.

* Corresponding author. Email: sudarshan.rajagopal@duke.edu

† These authors contributed equally to this work.

‡ Present address: Engine Biosciences, 733 Industrial Rd., San Carlos, CA, 94070, USA.

Editor's summary

バイアスリガンドはGタンパク質共役受容体(GPCR)を刺激して、Gタンパク質の活性化またはアダプターであるβ-アレスチンの動員のいずれかを、選択的に行う。Gardnerらは、ケモカイン受容体であるCXCR3のバイアスリガンドにより誘導されるこれら個別の下流シグナル伝達パターンが、細胞膜とエンドソームへのGPCRキナーゼ(GRK)の差次的な動員に依存していることを見いだした。培養細胞において、異なるバイアスリガンドが個別のサブセットのGRKを各部位でCXCR3に動員し、結果的にGRKが受容体の内部移行、β-アレスチンの動員および下流シグナル伝達活性を決定していた。その他のGPCRの刺激によっても、細胞膜とエンドソームへの差次的なGRK動員が生じたことから、部位特異的なGRK動員がGPCRスーパーファミリー全体のバイアス型シグナル伝達を形成していることが示唆された。—Annalisa M. VanHook

要約

複数のGタンパク質共役受容体(GPCR)はバイアス型シグナル伝達を示し、その結果、同じ受容体のリガンドが、他の下流シグナル伝達経路よりも一部の伝達経路を排他的または選択的に活性化する。この現象は、GPCRキナーゼ(GRK)によるリガンド特異的な受容体リン酸化によって生じると考えられる。GPCRは細胞膜に加えて細胞内コンパートメントにも移行し、そこからのシグナル伝達を受けることから、GPCRシグナル伝達も部位バイアスを示す可能性がある。本稿でわれわれは、GPCRシグナル伝達においてGRKが部位バイアスに寄与しているか否かを検討した。培養細胞においてケモカイン受容体CXCR3またはその他のGPCRの刺激後に、GRKはエンドソームに移行した。GRK2、GRK3、GRK5およびGRK6の細胞膜およびエンドソームへの動員パターンは、CXCR3の活性化に使用されたバイアスリガンドが何であったかに応じて異なっていた。細胞膜またはエンドソームのいずれかに局在化した遺伝子組換え型GRKの解析から、CXCR3のバイアスリガンドが、細胞内のGRKの局在に応じて異なるシグナル伝達プロファイルを誘導することを実証した。それぞれのGRKは、β-アレスチンへのCXCR3の会合、内部移行、および下流エフェクターキナーゼであるERKの活性化の調節に、個別の影響を及ぼしていた。今回の研究から、部位バイアス性のGPCRシグナル伝達におけるGRKの役割が浮き彫りにされ、バイアス型シグナル伝達に寄与しているリガンド、GRKおよび細胞内局在の間の複雑な相互作用が実証された。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2024年2月13日号

Editor's Choice

RNAが厄介な状況を生み出す

Research Article

GPCRキナーゼはその細胞内局在に応じて偏向性のCXCR3下流シグナル伝達を差次的に調節する

リラキシン-3受容体のGαi/oバイアスステープルペプチドアゴニストによるバイアスアゴニズムの機構

最新のResearch Article記事

2024年4月9日号

前立腺がんにおいて脂質合成を阻害するとDNA損傷が誘導され、PARP阻害がもたらす細胞死が増加する

A型インフルエンザウイルス感染中にMiz1がI型インターフェロンの産生を抑制してウイルス除去を制限する

2024年4月2日号

フェリチンの重サブユニットは肝星細胞でICAM-1を介してNLRP3インフラマソームを刺激し、肝臓の炎症を促進する

2024年3月26日号

ミクログリア内のグルコシルセラミドの蓄積がマウスにおいてSTING依存性の神経炎症と神経変性を引き起こす

2024年3月19日号

運動によって誘導されるBDNFは運動後回復期に骨格筋脂質代謝のPPARδ依存性リプログラミングを促進する