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密猟者がT細胞内で森の番人に転身した

Poachers turned gamekeepers in T cells

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SCIENCE SIGNALING
20 Feb 2024 Vol 17, Issue 824
[DOI: 10.1126/scisignal.ado6463]

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: jfoley@aaas.org

J. Garcia, J. Daniels, Y. Lee, I. Zhu, K. Cheng, Q. Liu, D. Goodman, C. Burnett, C. Law, C. Thienpont, J. Alavi1, C. Azimi, G. Montgomery, K. T. Roybal, J. Choi, Naturally occurring T cell mutations enhance engineered T cell therapies. Nature (2024).

治療用T細胞の有効性は自己免疫またはリンパ腫に関連する変異を組み込むことによって高まる。

キメラ抗原受容体(CAR)T細胞などのT細胞に基づく治療法は、一部の患者の血液がん治療で成功を収めてきたが、固形腫瘍に対する使用では課題が残されている。そのような障壁には、T細胞消耗の発生、T細胞の持続性の欠如、多くの腫瘍の免疫抑制性環境などがある。自己免疫およびT細胞リンパ腫に関連するT細胞の多様な変異がT細胞の活性と持続性を促進することに注目し、Garciaらは、そのような変異を利用して治療用T細胞の有効性を高められるかどうかを調べた。まず、70を超えるそのような変異といくつかの遺伝子融合をスクリーニングし、CD19発現標的細胞と共培養されたCD19ベースのCARを発現するJurkatレポーター細胞に対する効果を測定した。また、これらの変異を異種移植モデルのヒトCAR T細胞でもスクリーニングし、in vivoでの細胞持続性をモニタリングした。これらのスクリーニングによって、CARD11-BCL10-MALT1(CBM)複合体の活性化を促進し、in vitroおよび多様なマウス腫瘍モデルにおいてAP-1およびNF-κB転写因子の活性化、サイトカインIL-2の産生、腫瘍細胞の死滅の促進を引き起こす遺伝子融合CARD11-PIK3R3が同定された。RNAシーケンス解析では、CARD11-PIK3R3発現細胞において、CAR依存性の遺伝子発現変化が認められ、その多くは増殖応答、抗腫瘍応答、サイトカイン産生と関連していた。コントロールのCD19-CAR T細胞と比べると、CARD11-PIK3R3発現CD19-CAR T細胞では、in vivoでの抗腫瘍活性の亢進がみられた。さらに、CARD11-PIK3R3発現T細胞で処置されたマウスの長期モニタリングでは、in vivoでの悪性形質転換を示すエビデンスは認められなかった。まとめると、これらの知見は、自然に発生したT細胞変異を利用することにより、T細胞療法の有効性を高めうることを示している。

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