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細菌性D-アミノ酸は孤立化学感覚細胞の甘味受容体を介して副鼻腔の自然免疫を抑制する

Bacterial D-amino acids suppress sinonasal innate immunity through sweet taste receptors in solitary chemosensory cells

Research Article

Sci. Signal. 05 Sep 2017:
Vol. 10, Issue 495, eaam7703
DOI: 10.1126/scisignal.aam7703

Robert J. Lee1,2,*, Benjamin M. Hariri1, Derek B. McMahon1, Bei Chen1, Laurel Doghramji1, Nithin D. Adappa1, James N. Palmer1, David W. Kennedy1, Peihua Jiang3, Robert F. Margolskee3, and Noam A. Cohen1,3,4,*

1 Department of Otorhinolaryngology-Head and Neck Surgery, University of Pennsylvania Perelman School of Medicine, Philadelphia, PA 19104, USA.
2 Department of Physiology, University of Pennsylvania Perelman School of Medicine, Philadelphia, PA 19104, USA.
3 Monell Chemical Senses Center, Philadelphia, PA 19104, USA.
4 Philadelphia Veterans Affairs Medical Center Surgical Service, Philadelphia, PA 19104, USA.

* Corresponding author. Email: rjl@mail.med.upenn.edu (R.J.L.); cohenn@uphs.upenn.edu (N.A.C.)

要約
上気道上皮では、孤立化学感覚細胞に存在する苦味および甘味受容体が抗菌的な自然免疫防御反応に影響を与えている。苦味受容体(T2R)の活性化は周囲の上皮細胞を刺激して抗菌ペプチドを放出させるが、同じ細胞の甘味受容体(T1R)の活性化はこの反応を阻害する。この機構では、気道表面液の糖含有量に基づいて抗菌ペプチドの放出量が制御されていると考えられる。われわれは、種々の細菌により産生されて口腔内の味覚受容体細胞のT1Rを活性化するD-アミノ酸が、気道内のT1Rも活性化するかもしれない、という仮説を立てた。われわれは、甘味受容体(T1R2/3)のT1R2とT1R3の両方のサブユニットが、初代培養したヒト副鼻腔上皮の同じ化学感受性細胞にも存在することを明らかにした。気道から分離したブドウ球菌(Staphylococcus)は、甘味受容体を活性化する2種類以上のD-アミノ酸を産生したが、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は産生しなかった。ブドウ球菌由来のD-アミノ酸は緑膿菌のバイオフィルム形成を阻害することに加え、副鼻腔細胞においてT1R2/3を活性化することにより、T2Rを介したシグナル伝達ならびにディフェンシン分泌を阻害した。同様にD-アミノ酸を介したT1R2/3の活性化は、苦味受容体活性化物質である安息香酸デナトニウムの存在下で、黄色ブドウ球菌に曝露された上皮細胞の細胞死を増強した。これらのデータから、細菌性D-アミノ酸と気道化学感受性細胞中の哺乳類甘味受容体が介する、気道中の界間シグナル伝達(interkingdom signaling)について考えられる機序が確立された。

Citation: R. J. Lee, B. M. Hariri, D. B. McMahon, B. Chen, L. Doghramji, N. D. Adappa, J. N. Palmer, D. W. Kennedy, P. Jiang, R. F. Margolskee, N. A. Cohen, Bacterial D-amino acids suppress sinonasal innate immunity through sweet taste receptors in solitary chemosensory cells. Sci. Signal. 10, eaam7703 (2017).

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