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エストロゲン受容体β:新たなパートナーへの乗り換え、エストロゲンからの逃避

Estrogen Receptor β: Switching to a New Partner and Escaping from Estrogen

Perspectives

Sci. Signal., 12 April 2011
Vol. 4, Issue 168, p. pe19
[DOI: 10.1126/scisignal.2001991]

Yuet-Kin Leung1,2,3 and Shuk-Mei Ho1,2,3*

1 Division of Environmental Genetics and Molecular Toxicology, Department of Environmental Health, University of Cincinnati Medical Center, Kettering Complex, Room 128, 3223 Eden Avenue, P.O. Box 670056, Cincinnati, OH 45267, USA.
2 Center of Environmental Genetics, University of Cincinnati Medical Center, Cincinnati, OH 45267, USA.
3 Cincinnati Cancer Center, College of Medicine, University of Cincinnati Medical Center, Cincinnati, OH 45267, USA.

* Corresponding author. E-mail, shuk-mei.ho@uc.edu

要約:エストロゲン受容体(ER)β、すなわち「第二の」ERは、細胞増殖を抑制し、アポトーシスを促進し、前立腺がんの進行を妨害することによって門番のような役割を果たす。皮肉なことに、そのリガンドと考えられている17β-エストラジオールは、実験モデルにおいてがんの発症を促進する。前立腺がんにおけるエストロゲンとERβの相互作用の基礎となる機構はほとんどわかっていない。ERβのこれまで知られていなかった結合パートナーであるKrüppel様亜鉛フィンガー転写因子5(KLF5)と下流標的遺伝子(FOXO1)の研究は、この謎を解くのに役立つ。利用できるエストロゲンが制限される組織である前立腺では、17β-エストラジオールはERβの腫瘍抑制機能の維持には必要ない。さらに、17β-エストラジオールの存在は、ERβとKLF5を介するシグナル伝達を排除し、細胞増殖を促進する。ERβに関する将来的な研究には、このエストロゲン非依存性と、その結合による非古典的なDNAエレメントと結合する傾向性が含まれると考えられる。ERβに基づく治療の開発は、薬効の改善につながるかもしれない。

Y.-K. Leung, S.-M. Ho, Estrogen Receptor β: Switching to a New Partner and Escaping from Estrogen.Sci. Signal. 4, pe19 (2011).

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