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Wnt5aは異なるシグナル伝達機構を介して皮質軸索伸張と反発性ターニングを同時に誘導する

Wnt5a Induces Simultaneous Cortical Axon Outgrowth and Repulsive Turning Through

Presentations

Sci. Signal., 9 November 2010
Vol. 3, Issue 147, p. pt2
[DOI: 10.1126/scisignal.3147pt2]

Distinct Signaling Mechanisms

Li Li1*†, B. Ian Hutchins1‡, and Katherine Kalil1,2

1 Neuroscience Training Program, University of Wisconsin-Madison, 1300 University Avenue, Madison, WI 53706, USA.
2 Department of Anatomy, University of Wisconsin-Madison, 1300 University Avenue, Madison, WI 53706, USA.

Present address: Neuroscience Research Unit, Pfizer, 445 Eastern Point Road, MS 8220-4269, MS 8220-4269, Groton, CT 06340, USA.

Present address: Cellular and Developmental Neurobiology Section, National Institute of Neurological Disorders and Stroke, National Institutes of Health, 35 Convent Drive, Bethesda, MD 20892, USA.
A presentation from the 2008 meeting "Axon Guidance, Synaptogenesis & Neural Plasticity" at Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY, 10 to 14 September 2008.

* Presenter and corresponding author. E-mail, LiLi@uwalumni.com

要約:Wnt5aは、反発性の機構によって、皮質軸索を皮質脊髄路を下行して、脳梁を通して進ませると考えられ る。われわれは、ハムスターから分離した出生後早期の皮質ニューロンを培養し、Wnt5aの作用機構について検討するためのモデルとしてWnt5aの勾配 に曝露した。ターニングアッセイによって、皮質軸索はWnt5aの点源から遠ざけられることが示された。驚くべきことに、1時間のターニングアッセイにお いて、Wnt5aに曝露した軸索では、成長速度の約50%の増加も認められた。Wnt5aによって促進される軸索伸張には、Ryk受容体が必要であったが Frizzled(Fz)受容体は必要なかった。一方、反発性の成長円錐のターニングにはRyk受容体とFz受容体の両方が必要であった。Ryk受容体と Fz受容体はいずれも、軸索伸張と反発性ターニングに必要なカルシウム(Ca2+)シグナル伝達を仲介した。薬理学的阻害薬で処理することによって、Wnt5a依存性の軸索伸張と反発性ガイダンスには異なるCa2+シグナル伝達機構が関与することが明らかになった。イノシトール1,4,5-トリスリン酸受容体を介する細胞内ストアからのCa2+放出は、Wnt5a誘導性の軸索伸張に必要であったが、反発性ターニングには必要なかった。対照的に、一過性受容体電位(TRP)チャネルを介するCa2+流入は、反発性の成長円錐のターニングと、Wnt5aによって促進される軸索伸張の両方にとって必要であった。これらの結果を総合すると、ガイダンスシグナルは、反発性ガイダンスと同時に軸索伸張の速度上昇を引き起こすことができ、皮質軸索がin vivoで脊髄に沿って遠ざけられる機構の理解をもたらす可能性があることがわかった。さらにわれわれは、これまで同定されていなかったWntシグナル伝達経路が、これらの成長円錐の挙動を異なる形で仲介することを示す。

L. Li, B. I. Hutchins, K. Kalil, Wnt5a Induces Simultaneous Cortical Axon Outgrowth and Repulsive Turning Through Distinct Signaling Mechanisms. Sci. Signal. 3, pt2 (2010).

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