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標的組織におけるグルココルチコイドホルモン作用の概日リズム:潜在的な臨床上の意義

Circadian Rhythms of Glucocorticoid Hormone Actions in Target Tissues: Potential Clinical Implications

Presentations

Sci. Signal., 2 October 2012
Vol. 5, Issue 244, p. pt4
[DOI: 10.1126/scisignal.2003333]

Tomoshige Kino*

Program in Reproductive and Adult Endocrinology, Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development (NICHD), NIH, Bethesda, MD 20892, USA.

A Presentation from the European Society for Paediatric Endocrinology (ESPE) New Inroads to Child Health (NICHe) Conference on Stress Response and Child Health in Heraklion, Crete, Greece, 18 to 20 May 2012.

* Presenter and corresponding author. E-mail: kinot@mail.nih.gov

要約:生物は予期せぬ環境の短期的および長期的変化(ストレス因子)に直面する。これらの変化に対抗するために、生物は、グルココルチコイドおよびグルココルチコイド受容体(GR)をシグナル伝達に利用する視床下部‐下垂体‐副腎(HPA)軸を含むストレス系を発達させてきた。さらに、生物は明暗周期の強い影響下で生き、繰り返し生じる環境変化に行動を適応させるために、高度に保存された概日時計システムを発達させてきた。この調節系は、Clock-Bmal1ヘテロ二量体および他の転写因子から成る自律的に振動する分子ペースメーカーを用いることによって、内因性概日リズムを作り出して維持する。概日時計は、脳視床下部の視交叉上核にある中枢親時計と、ほぼすべての器官と組織にある末梢子時計からなる。HPA軸および概日時計システムは複数のレベルで相互に情報交換している。中枢時計はHPA軸を制御することによって、循環する副腎皮質刺激ホルモンおよびコルチゾールの日ごとの周期変動を生み出し、HPA軸は、GRを介してさまざまなストレス因子に応答して末梢時計の概日リズムを調整する。さらに、Clock-Bmal1はGRのアセチル化を介して末梢組織におけるグルココルチコイドに対する応答を調節し、毎日変動する循環コルチゾールの生物学的作用に拮抗すると考えられる。重要なことに、概日時計システムやHPA軸における調節異常は、循環コルチコイド濃度とグルココルチコイドに対する組織の感受性を切り離すことによって、肥満、メタボリックシンドロームおよび心血管疾患などの類似する病理的徴候を引き起こす可能性がある。

T. Kino, Circadian Rhythms of Glucocorticoid Hormone Actions in Target Tissues: Potential Clinical Implications. Sci. Signal. 5, pt4 (2012).

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