• ホーム
  • Rhoの交換因子のVav2とVav3は乳がん細胞の肺転移特異的な転写プログラムを制御する

Rhoの交換因子のVav2とVav3は乳がん細胞の肺転移特異的な転写プログラムを制御する

The Rho Exchange Factors Vav2 and Vav3 Control a Lung Metastasis–Specific Transcriptional Program in Breast Cancer Cells

Research Article

Sci. Signal., 2 October 2012
Vol. 5, Issue 244, p. ra71
[DOI: 10.1126/scisignal.2002962]

Carmen Citterio1,2*, Mauricio Menacho-Márquez1,2*, Ramón García-Escudero3, Romain M. Larive1,2, Olga Barreiro4, Francisco Sánchez-Madrid4, Jesús M. Paramio3, and Xosé R. Bustelo1,2†

1 Centro de Investigación del Cáncer, CSIC-University of Salamanca, 37007 Salamanca, Spain.
2 Instituto de Biología Molecular y Celular del Cáncer, CSIC-University of Salamanca, 37007 Salamanca, Spain.
3 Molecular Oncology Unit, CIEMAT, 28040 Madrid, Spain.
4 Centro Nacional de Investigaciones Cardiovasculares, 28029 Madrid, Spain.

* These authors contributed equally to this work.

† To whom correspondence should be addressed. E-mail: xbustelo@usal.es

要約:RhoおよびRacサブファミリーに属するグアノシントリホスファターゼは、腫瘍化促進経路を調節し、グアニンヌクレオチド交換因子(Rho GEF)によって活性化されることから、抗がん療法の標的になりうると考えられる。われわれは、Vav2とVav3という2つのRho GEFが、乳がんにおいて、腫瘍増殖と血管新生、および肺特異的転移に関与するステップの多くを持続させることによって相乗的な役割を果たすことについて報告する。これらの過程におけるVavタンパク質の関与は、Rac1およびRhoAの活性や細胞遊走とは関連がなかったことから、別の生物学的プログラムの存在が示唆される。マイクロアレイ解析によって、Vav2とVav3が、乳がん細胞においてこの2つのタンパク質に共通する機構、すなわちアイソフォーム特異的な機構または相乗的な機構を介して、広大な転写プログラムを制御することが明らかになった。さらに、Vavによる調節を受ける転写産物の量は、Rac1依存的経路とRac1非依存的経路によって調節されていた。このトランスクリプトームは、インテグリン結合キナーゼ(Ilk)、トランスフォーミング増殖因子βファミリーのリガンドであるインヒビンβA、シクロオキシゲナーゼ-2、上皮細胞接着分子Tacstd2などのように、原発性腫瘍形成と肺特異的転移において重複しない役割を果たし、治療標的となりうるタンパク質をコードしていた。また、乳がん患者の疾病予後を予測する特徴的な遺伝子も含まれていた。これらの結果は、乳がんおよび肺転移の有望な治療標的を同定し、臨床用途の有望な診断ツールを提供する。

C. Citterio, M. Menacho-M?árquez, R. García-Escudero, R. M. Larive, O. Barreiro, F. S?ánchez-Madrid, J. M. Paramio, X. R. Bustelo, The Rho Exchange Factors Vav2 and Vav3 Control a Lung Metastasis-Specific Transcriptional Program in Breast Cancer Cells. Sci. Signal. 5, ra71 (2012).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2012年10月2日号

Editors' Choice

生理学
TRPV4を標的とする代謝性疾患の治療

Research Article

Rhoの交換因子のVav2とVav3は乳がん細胞の肺転移特異的な転写プログラムを制御する

シロイヌナズナ(Arabidopsis)において、BZR1とDELLAの相互作用はブラシノステロイドとジベレリンの直接的なシグナル伝達クロストークを媒介する

Perspectives

Rho GEFとがん:遺伝子発現と転移性播種を結び付ける

Presentations

標的組織におけるグルココルチコイドホルモン作用の概日リズム:潜在的な臨床上の意義

最新のResearch Article記事

2024年9月10日号

CD98hcは腫瘍細胞由来の小型細胞外小胞を介して節外性ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫の薬剤耐性を促進する

2024年9月10日号

NMDA受容体に依存するホスホプロテオームにおけるシグナルの流れが嫌悪学習のためのシナプス後可塑性を調節する

2024年9月3日号

キナーゼGSK-3βにおけるリン酸化プライミングと足場の構造的および機能的効果

2024年8月27日号

ケモカインを介したBリンパ球中のF-アクチンの動態、極性および遊走はWNK1シグナル伝達に依存している

2024年8月27日号

侵入したHCMV粒子によるUS28の送達がAkt活性を急速に減弱させ、単球におけるHCMV溶解複製を抑制する