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タンパク質RAB5IFはGαi1/3のSUMO化を刺激することによってBDNFシグナル伝達を促進し、マウスのうつ病様行動を軽減する

The protein RAB5IF promotes BDNF signaling by stimulating the SUMOylation of Gαi1/3 to reduce depressive-like behaviors in mice

Research Article

SCIENCE SIGNALING
31 Mar 2026 Vol 19, Issue 931
DOI: 10.1126/scisignal.aec8898

Xin Shi1, †, Han-qi Liu1, †, Shi-zhong Cai2, †, Yi-hang Shen1, †, Jin-long Chai1, Mei-qing Zhang1, Chen-yang Xu1, Zhi-qing Zhang1, John Marshall3, *, Cong Cao1, *

  1. 1 Department of Neurology and Clinical Research Center of Neurological Disease, Second Affiliated Hospital of Soochow University, Suzhou, China.
  2. 2 Department of Child and Adolescent Healthcare, Institute of Pediatric Research, Children’s Hospital of Soochow University, Suzhou, China.
  3. 3 Department of Molecular Biology, Cell Biology and Biochemistry, Brown University, Providence, RI, USA.
  4. † These authors contributed equally to this work.
  5. * Corresponding author. Email: john_marshall@brown.edu (J.M.); caocong@suda.edu.cn (C.C.)

Editor’s summary

慢性的な軽度のストレスはうつ病を引き起こす可能性があり、脳内の神経栄養因子BDNFによるシグナル伝達を損なわせることがその一因になっている。Shiらは、ミトコンドリアタンパク質がBDNF受容体シグナル伝達複合体の形成を間接的に促進させることを明らかにした。Rab5相互作用因子(RAB5IF)はSUMO2の合成を促進し、それによってきわめて重要なGタンパク質サブユニットのSUMO化と、TrkB受容体との相互作用を可能にし、BDNFシグナル伝達を調節する。このシグナル伝達軸はミトコンドリアの完全性と海馬ニューロンの樹状突起の分岐を維持し、慢性的にストレスを受けたマウスのうつ関連行動を軽減させた。これらの知見は、ミトコンドリア機能と抗うつシグナル伝達の間の機構的関連を明らかにし、将来の薬物開発のための情報提供となりうる。—Leslie K. Ferrarelli

要約

慢性ストレスと神経栄養因子BDNFシグナル伝達の障害は、うつ病と関連する。ヘテロ三量体Gタンパク質サブユニットGαi1およびGαi3(Gαi1/3)は、慢性的な軽度ストレスによって誘発されるうつ病マウスモデルにおいて、BDNFシグナル伝達のきわめて重要なメディエーターである。本研究でわれわれは、慢性的な軽度ストレスがGαi1/3のSUMO化を損なわせ、結果的に、BDNF受容体TrkBとのシグナル伝達複合体の形成を損なわせることを明らかにした。これらGタンパク質サブユニットのSUMO化が損なわれるのは、RAB5相互作用因子(RAB5IF)の減少と、それによるSumo2 mRNAの翻訳効率の低下が原因であった。培養マウス海馬ニューロンのRAB5IFをサイレンシングまたはノックアウトすると、BDNFによって誘導されるシグナル伝達とミトコンドリア機能が損なわれ、それによって樹状突起の分岐とシナプス密度が損なわれた。マウス海馬において、RAB5IFをニューロン特異的ノックダウンまたは条件付きノックアウトすると、このような細胞欠損が再現され、うつ病様行動が誘発された。逆に、海馬のRAB5IFをニューロンで過剰発現させると、うつ病表現型は軽減された。BDNFによって誘導されるTrkB-SUMO2-Gαi1/3複合体の形成と下流のAkt-mTORシグナル伝達の活性化には、Gαi1/3のLys277のSUMO化が必要であった。ニューロン特異的SUMO2のノックダウン、またはSUMO化できないGαi1/3変異体を海馬で過剰発現させると、BDNFシグナル伝達が損なわれ、マウスのうつ病様行動が誘発された。これらの知見は、RAB5IF-SUMO2-Gαi1/3シグナル伝達軸がTrkBシグナル伝達とうつ行動の予防にきわめて重要であることを明らかにするものである。

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