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高グルコースはCreb3のO-GlcNAc化と乳酸産生の増加を介して認知機能を低下させる

High glucose impairs cognitive function through Creb3 O-GlcNAcylation and increased lactate production

Research Article

SCIENCE SIGNALING
14 Apr 2026 Vol 19, Issue 933
DOI: 10.1126/scisignal.adx4313

Jingxi Xu1, 2, 3, †, Xing Yang1, 2, †, Jingxue Cao1, 2, †, Yuqi Hao1, 2, †, Rongrong Nie4, †, Qiongsui Zhong1, 3, Yun Gao5, Ya Hui1, 2, 3, Liuyu Kuang1, 2, Yuanmei Zhong1, 3, Biwen Mo6, Xiaoyun Zeng2, *, Tianpeng Zheng1, 2, 3, *

  1. 1 Department of Endocrinology and Metabolism, Second Affiliated Hospital of Guilin Medical University, Guilin, Guangxi 541199, P. R. China.
  2. 2 Guangxi Key Laboratory of Diabetic Systems Medicine, Guilin Medical University, Guilin, Guangxi 541199, P. R. China.
  3. 3 Guangxi Key Laboratory of Brain and Cognitive Neuroscience, Guilin Medical University, Guilin, Guangxi 541199, P. R. China.
  4. 4 Department of Integrated Traditional Chinese and Western Medicine, First Affiliated Hospital of Guilin Medical University, Guilin, Guangxi 541001, P. R. China.
  5. 5 Department of Endocrinology and Metabolism, West China Hospital of Sichuan University, Chengdu, Sichuan 610041, P. R. China.
  6. 6 Guangxi Clinical Research Center for Diabetes and Metabolic Diseases, Second Affiliated Hospital of Guilin Medical University, Guilin, Guangxi 541199, P. R. China.
  7. † These authors contributed equally to this work.
  8. * Corresponding author. Email: xiaoyun_zeng@sina.com (X.Z.); ZhengTP@glmc.edu.cn (T.Z.)

Editor’s summary

認知機能障害は、残念ながら、糖尿病でよくみられる合併症である。Xuらは、糖尿病のマウスモデルにおいて、その基礎にある機構を検討した。これらのマウスの海馬ニューロンでは、転写因子のCreb3が、高グルコース条件で増強される場合が多い修飾であるO-GlcNAc化によって安定化され、Creb3標的遺伝子のLdhaの発現が増加することにより、乳酸産生が増加した。糖尿病マウスの海馬における大量の乳酸が、ニューロンのアポトーシスを誘導し、認知機能障害を引き起こした。これらの作用は、Ldhaの欠損によって、または小分子ペプチドを用いたCreb3のO-GlcNAc化の阻害によって減弱したことから、この経路が、糖尿病患者において認知機能を維持するための治療標的となる可能性が示唆された。—Wei Wong

要約

糖尿病に特徴的な高血糖は、解糖の過程を介したグルコース代謝を増加させ、乳酸の産生増加と、O-GlcNAc化と呼ばれる単糖ベースの翻訳後修飾を引き起こす可能性がある。今回われわれは、O-GlcNAc化と乳酸産生が、糖尿病のよくある合併症である高グルコース誘導性の認知機能障害の基礎にある分子機構であることを明らかにした。前向き観察研究では、血漿乳酸濃度高値が糖尿病患者における軽度認知障害を予測する独立した危険因子であることが明らかになった。マウス海馬ニューロンを高グルコース処理すると、転写因子Creb3のO-GlcNAc化が増加し、ユビキチン化が防止されることによりタンパク質が安定化した。Creb3の増加は、続いて乳酸脱水素酵素をコードする下流の標的遺伝子Ldhaの発現を上昇させた。その結果、解糖の過程で乳酸産生が増加し、1型および2型糖尿病のマウスモデルにおいて、ニューロンのアポトーシスと認知機能障害が引き起こされた。Ser325がO-GlcNAc化されないCreb3変異体の発現、またはCreb3 Ser325に対するO-GlcNAc化の短鎖ペプチドを用いた競合的阻害によって、これらの作用は軽減された。本研究は、高グルコース誘導性のCreb3 O-GlcNAc化とLdhaを介する乳酸産生との機構的関連を明らかにするものであり、糖尿病関連認知機能障害を管理するための治療戦略の候補を提示している。

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