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コリン作動性シグナルと抗体
Cholinergic signals and antibodies

SCIENCE SIGNALING
14 Apr 2026 Vol 19, Issue 933
DOI: 10.1126/scisignal.aeh8929
John F. Foley
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA.
Corresponding author. Email: jfoley@aaas.org
D. Nechanitzky, L. K. Smith, R. Nechanitzky, S. M. Jafari, J. Haight, C. Bontoux, P. Ramachandran, M. J. Gold, A. C. Wakeham, M. E. Saunders, J. F. Deniset, T. W. Mak, Lymphocyte-derived cholinergic circuits modulate germinal center output and B cell activation. Nat. Immunol. 27, 854–866 (2026).
リンパ球由来のアセチルコリンは胚中心内のB細胞抗体産生を制御する。
胚中心(GC)はリンパ器官内の特殊な領域であり、そこではB細胞が抗原曝露後、複数回連続して選択を受け、高親和性抗体を発現するB細胞クローンが生成される。これまでの研究で、神経伝達物質アセチルコリンを合成する酵素をコードするChatを発現するT細胞が、T細胞とB細胞間のいわゆるGC応答における高親和性抗体産生に必要であることが示されている。Nechanitzkyらは、GC B細胞におけるChatの発現もこの応答に寄与するかを調べた。Chat-GFPレポーターマウスにヒツジ赤血球を免疫すると、脾臓のGC B細胞と濾胞ヘルパーT細胞(TFH細胞)でChatの発現が誘導された。T細胞またはB細胞のいずれかでChatが欠損すると、免疫後の高親和性GC B細胞の割合が減少した。遺伝子発現解析により、Chatの発現はGC B細胞の正の選択によって誘導され、代謝適応度を高めるMycの発現上昇と関連することがわかった。TFH細胞とGC B細胞間の相互作用により、非典型的なNF-κB依存的な様式でB細胞におけるChatの発現が誘導された。ナイーブB細胞における様々なムスカリン性およびニコチン性アセチルコリン受容体をコードする遺伝子の発現が、B細胞受容体(BCR)刺激に応答して上昇したが、その後、初期および後期GC B細胞状態間でその発現は変化した。BCRシグナル伝達の強さが、B細胞の活性化と分化の仕方を決定する。著者らは、アセチルコリンが、おそらくM2およびM4ムスカリン性アセチルコリン受容体を介して、B細胞におけるプロテインキナーゼA(PKA)シグナル伝達を阻害し、BCR刺激に応答して細胞内Ca2+動員を減少させ、B細胞の活性化の低下を導くことを発見した。免疫したマウスから単離したGC B細胞を用いたin vitro実験では、アセチルコリンがB細胞の正の選択に必要なシグナル伝達の閾値を上昇させ、その結果、高親和性GC B細胞が低親和性GC B細胞に比べて競争上の優位性を得る可能性があることが示唆された。合わせると、これらの知見は、リンパ球由来のコリン作動性シグナル伝達がGC応答をどのように制御するのかについての理解をさらに深めた。
2026年4月14日号






