• ホーム
  • 脳由来神経栄養因子がニューロンに内在する複数のプログラムを協調させてヒト運動ニューロンの軸索再生を促進する

脳由来神経栄養因子がニューロンに内在する複数のプログラムを協調させてヒト運動ニューロンの軸索再生を促進する

Brain-derived neurotrophic factor coordinates neuron-intrinsic programs to enhance axonal regeneration in human motor neurons

Research Article

SCIENCE SIGNALING
14 Apr 2026 Vol 19, Issue 933
DOI: 10.1126/scisignal.adx6752

Jose Norberto S. Vargas1, 2, *, †, Anna-Leigh Brown1, †, Kai Sun1, 2, †, Cathleen Hagemann3, 4, 5, Bethany Geary6, David Villarroel-Campos1, 2, Sam Bryce-Smith1, Matteo Zanovello1, Madeline Lombardo1, Stan Majewski1, 5, Andrew Tosolini1, ‡, Maria Secrier7, Matthew J. Keuss1, Andrea Serio3, 4, 5, James N. Sleigh1, 2, Pietro Fratta1, Giampietro Schiavo1, 2, *

  1. 1 Department of Neuromuscular Diseases and UCL Queen Square Motor Neuron Disease Centre, UCL Queen Square Institute of Neurology, University College London, London WC1N 3BG, UK.
  2. 2 UK Dementia Research Institute, University College London, London NW1 3BT, UK.
  3. 3 Department of Basic and Clinical Neuroscience, King’s College London, London SE5 9RT, UK.
  4. 4 UK Dementia Research Institute, King’s College London, London NW1 3BT, UK.
  5. 5 Francis Crick Institute, London NW1 1AT, UK.
  6. 6 MRC Protein Phosphorylation and Ubiquitylation Unit, School of Life Sciences, University of Dundee, Dow Street, Dundee DD1 5EH Scotland, UK.
  7. 7 Department of Genetics, Evolution, and Environment, UCL Genetics Institute, University College London, London WC1E 6BT, UK.
  8. * Corresponding author. Email: jobert.vargas@ukdri.ac.uk (J.N.S.V.); giampietro.schiavo@ucl.ac.uk (G.S.)
  9. † These authors contributed equally to this work.
  10. ‡ Present address: School of Biomedical Sciences and Australian Institute for Bioengineering and Nanotechnology, University of Queensland, St. Lucia 4067, Australia.

Editor’s summary

軸索機能の維持と修復には、転写、キナーゼ活性化、細胞骨格の動態を制御する複数の経路を協調させる必要があり、それらは神経栄養シグナル伝達によって支えられている。Vargasらは、iPSC由来ヒト運動ニューロンにおいて、神経栄養因子BDNFが転写を増幅し、RNA動態を時間的に制御し、リン酸化プロテオームを空間的に制御することによって軸索の再生を促進することを明らかにした。さらに、BDNFは軸索に損傷がない場合でも損傷応答遺伝子の発現を増加させたことから、損傷に対する運動ニューロンの応答性を高めている可能性がある。これらの知見は、軸索障害に対するBDNFベースの治療法の開発に洞察を与えるものである。—Leslie K. Ferrarelli

要約

ニューロン細胞に内在する軸索再生能には、トランスクリプトームの広範な協調、複数のキナーゼの活性化、細胞骨格の再編成が必要である。また、軸索の修復は、ニューロトロフィン(神経栄養因子)などの外因性活性化因子によっても影響される。本研究でわれわれは、ヒトiPSC由来下位運動ニューロン(i3 LMN)において、ニューロトロフィンBDNFがニューロンに内在する複数のプログラムを増幅して軸索再生を促進することを明らかにした。i3 LMNの代謝RNAシーケンス(SLAM-seq)とリン酸化プロテオームプロファイリングによって、BDNFが再生関連遺伝子セットを含む機能の異なる転写プログラムの発現とRNA安定性を時間的に制御し、それらの発現をさらに促進することを明らかにした。また、BDNFは細胞骨格の動態に関与する複数のタンパク質のリン酸化も制御した。マイクロ流体チャンバーで細胞体と軸索を分離したニューロン区画化培養系において、BDNF誘導性の再生は、ERK-RSK-S6Kキナーゼ経路の軸索特異的な活性化に依存した。これらの知見は、外因性BDNFシグナル伝達が内因性軸索再生プログラムを協調させることを示し、この過程における空間的に制御されるキナーゼ活性化の役割を浮き彫りにするものである。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2026年4月14日号

Editors' Choice

コリン作動性シグナルと抗体

Research Article

高グルコースはCreb3のO-GlcNAc化と乳酸産生の増加を介して認知機能を低下させる

脳由来神経栄養因子がニューロンに内在する複数のプログラムを協調させてヒト運動ニューロンの軸索再生を促進する

最新のResearch Article記事

2026年04月14日号

高グルコースはCreb3のO-GlcNAc化と乳酸産生の増加を介して認知機能を低下させる

2026年04月14日号

脳由来神経栄養因子がニューロンに内在する複数のプログラムを協調させてヒト運動ニューロンの軸索再生を促進する

2026年04月07日号

Wnt依存性のFrizzledクラスター化はDishevelledのリン酸化に必要であるがβ-カテニンの安定化には十分でない

2026年03月31日号

抗ムスカリン薬はムスカリン性アセチルコリン1型受容体においてβ-アレスチンバイアスアゴニズムを発揮しDRG神経突起形成を促進する

2026年03月31日号

タンパク質RAB5IFはGαi1/3のSUMO化を刺激することによってBDNFシグナル伝達を促進し、マウスのうつ病様行動を軽減する