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RXRαがクローン病の目印になる

RXRα marks the spot for Crohn’s disease

Editors' Choice

SCIENCE SIGNALING
24 Mar 2026 Vol 19, Issue 930
DOI: 10.1126/scisignal.aeh3241

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA.

Corresponding author. Email: wwong@aaas.org

M. Meyer, F. Grabherr, C. Plattner, M. V. Hadjihannas, Z. Rao, V. Marteau, V. A. López-Agudelo, J. Schwärzler, L. Mayr, A. Jukic, L. Scheffauer, L. Zundel, B. Enrich, A. Pfister, A. Simonini, C. Grander, R. Hilbe, D. Haschka, A. Zollner, K. Vouk, P. Moser, M. W. Hess, N. Nemati, D. Rieder, F. Sommer, P. Rosenstiel, Q. Ran, R. S. Blumberg, A. Kaser, F. Rieder, A. Koeberle, C. Becker, R. Atreya, A. A. Kühl, B. Siegmund, A. Franke, the IBDome Consortium, H. Tilg, Z. Trajanoski, T. E. Adolph, Metabolic stress sensing by epithelial RXRα links westernization of diet with Crohn’s disease. Cell Metab. 38, 512–528.E9 (2026).

西洋型食事に含まれる多価不飽和脂肪酸がRXRαを活性化してクローン病の発症を促進する。

クローン病に特有の腸炎は、ω-3およびω-6多価不飽和脂肪酸(PUFA)を多く含む西洋型食事と関連しており、パネート細胞と呼ばれる腸上皮細胞サブセットの機能不全とも関係している。Meyerらは、パネート細胞中の核受容体RXRαのPUFAによる活性化がクローン病の発症において果たしている役割を明らかにした。クローン病の患者(特にBMIが25以上の患者)の小腸では、RXRαの転写活性の増強が認められた。過量のPUFAを給与されたときにクローン病様の腸炎を発症するGpx4+/−IECマウスでは、RXRαの転写活性およびRXRα標的遺伝子の発現が亢進していた。PUFAを多く含む餌を給与されたGpx4+/−IECマウスでは複数のω-3およびω-6 PUFA種が産生され、そのうちω-3 PUFA DHAおよびω-6 PUFAアラキドン酸がRXRαを刺激していることがルシフェラーゼ活性アッセイにおいて確認された。パネート細胞特異的にGpx4を欠損しているマウス(Gpx4ΔPC)では、クローン病で認められたものと類似した腸炎が生じ、プロモーター領域にRXRα結合部位を有するケモカインCXCL1の腸内の量が増加していた。このようなGpx4ΔPCマウスの表現型は、パネート細胞におけるRXRαの共欠失により消失し、CXCL1中和抗体またはRXRαのアンタゴニスト/アゴニストの投与により軽減した。著者らは、このRXRαアゴニストの作用は、PUFAと競合してRXRαに結合にしたことによる可能性を示唆した。これらRXRαアゴニストの1つであるイソトレチノインは、にきびの経口治療薬として承認されており、後向き解析からはイソトレチノインの前治療によりクローン病の発症率が低下することが示されている。以上の結果は、西洋型食事に多く含まれるまたはそれによって産生されるω-3およびω-6 PUFAによるパネート細胞中のRXRαの活性化が、クローン病発症の寄与因子であること、また、イソトレチノイン治療によってこれを抑制できる可能性があることを示唆している。

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