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感覚と間質密度
Sense and stromal density

SCIENCE SIGNALING
10 Mar 2026 Vol 19, Issue 928
DOI: 10.1126/scisignal.aeg9266
Leslie K. Ferrarelli
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA.
Corresponding author. Email: lferrare@aaas.org
S.-W. Zhang, H. Wang, Y. Xiao, L.-T. Liu, M. Shen, Z. Wang, S. Zhao, X.-H. Ding, Y. Wang, Q.-Y. Zhuang, J. Ni, Z.-M. Shao, Y.-Z. Jiang, Sensory neurons drive immune exclusion by stimulating a dense extracellular matrix in the breast cancer tumor microenvironment. Cell 189, 1039–1055 (2026).
D. Barki, N. Eilat, R. Scherz-Shouval, Striking a nerve: Sensory neurons orchestrate ECM remodeling and immune exclusion in TNBC. Cell 189, 993–994 (2026).
感覚ニューロンは、乳がん細胞からのシグナルを、抗腫瘍免疫に対する高密度の間質バリアに変化させる。
乳がん患者においては、腫瘍微小環境内の多くの因子が、腫瘍進行と治療耐性の危険因子である。その中には、高密度の間質組織や腫瘍神経支配などがある。Zhangらは、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞と、関連する感覚ニューロンおよび線維芽細胞との間のシグナル伝達軸が、間質密度を高め、抗腫瘍免疫に対するバリアを促進することを見出した(Barkiらも参照)。臨床コホートや動物モデルから得られたさまざまなデータセットの解析により、TNBCは主に感覚ニューロンによる豊富な神経支配を受け、神経支配の範囲が予後の悪化、免疫細胞浸潤の減少、間質活性化および線維化の亢進と相関することが明らかになった。TNBCのマウスモデルでは、少量のカプサイシンを含む食餌により感覚ニューロンを刺激すると、腫瘍の成長が加速し、腫瘍内のがん関連筋線維芽細胞(myCAF)の数が増加した。これらの作用は、間質におけるI型コラーゲンの沈着の増加およびさまざまな免疫細胞による浸潤の減少と関連した。患者腫瘍組織および培養細胞を用いたin vivoの機構的検討では、腫瘍細胞により分泌された神経成長因子が近くの感覚ニューロンを刺激してタンパク質CGRPを放出させ、CGRPがmyCAF上の受容体複合体構成要素のRAMP1に結合し、I型コラーゲンの合成と分泌を促進する経路を活性化することが明らかになった。リメゲパント(ナルティークとしてより一般的に知られる片頭痛治療薬)によってCGRPシグナル伝達を阻害すると、マウスにおいて、感覚ニューロン刺激による間質および腫瘍成長作用が大幅に低下した。リメゲパントを免疫チェックポイント阻害抗体と併用すると、腫瘍成長がより効果的に抑制された。これらの結果は、感覚ニューロンが抗腫瘍免疫に対する物理的バリアを促進することを明らかにするものであり、承認されたCGRP阻害剤と免疫療法の併用が、TNBC患者に有効な治療法となる可能性があることを示唆している。
2026年3月10日号






