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HRASはコドンおよびアレル特異的に変異型NRASが引き起こす形質転換を促進する
HRAS promotes mutant NRAS–driven transformation with codon and allele specificity

SCIENCE SIGNALING
8 Sep 2026 Vol 19, Issue 954
DOI: 10.1126/scisignal.aej6209
Hyun Lee1, 2, Jacob M. Hughes1, 2, Joseph P. LaMorte1, 3, Bridget A. Finniff1, 2, Picabo Binette1, Sarasi K. Gunasekara1, Ariana Covas1, 2, Vanessa E. Wall4, Dominic Esposito4, †, Matthew D. Wilkerson3, Marielle E. Yohe5, 6, Robert L. Kortum1, *
- 1 Department of Pharmacology and Molecular Therapeutics, Uniformed Services University of the Health Sciences, Bethesda, MD 20814, USA.
- 2 Henry M. Jackson Foundation for the Advancement of Military Medicine Inc., Bethesda, MD 20817, USA.
- 3 Department of Anatomy, Physiology, and Genetics, Uniformed Services University of the Health Sciences, Bethesda, MD 20814, USA.
- 4 Protein Expression Laboratory, NCI RAS Initiative, Cancer Research Technology Program, Frederick National Laboratory for Cancer Research, Leidos Biomedical Research Inc., Frederick, MD 21702, USA.
- 5 Laboratory of Cell and Developmental Signaling, Center for Cancer Research, National Cancer Institute, NIH, Frederick, MD 21701, USA.
- 6 Pediatric Oncology Branch, Center for Cancer Research, National Cancer Institute, NIH, Bethesda, MD 20892, USA.
- † Present address: Septerna Inc., South San Francisco, CA 94080, USA.
- * Corresponding author. Email: robert.kortum@usuhs.edu
Editor’s summary
変異型RASタンパク質は、野生型RASと協調的かつ相補的な様式で、発がん性シグナル伝達を駆動する。Leeらは、KRASやHRASの変異体とは異なり、NRAS変異体が、シグナル伝達活性や野生型RASへの依存性(ひいては治療標的となり得る脆弱性)を、変異の種類に特異的な様式で示すことを見出した。野生型HRASのシグナル伝達は、変異型NRASシグナル伝達による発がん作用を増強させる、またはその作用に決定的な役割を果たしていた。その際、pan-RAS阻害剤とHRAS選択的阻害剤の併用に対する他の併用療法と比べた場合の感受性の程度は変異したコドンや特定のアミノ酸置換によって決まっていた。これらの知見は、異なるNRAS変異によって駆動されるがんに対しては、それぞれ異なる治療戦略が必要となる可能性を示唆している。—Leslie K. Ferrarelli
要約
変異型HRASやKRASにより引き起こされたがんにおいて、野生型RASファミリーは代替的なRASエフェクター経路を活性化させるため、シグナル伝達や治療応答を決定づける。本研究では、変異型NRASによる形質転換を支持するために野生型RASが必要とされるかが、GTP加水分解におけるコドン特異的な差異と相関することを明らかにした。GDP-GTPサイクル機能を保持するGly12(G12X)またはGly13(G13X)に変異を持つNRASは、中程度の自律的な形質転換能を示した。対照的に、Gln61に変異を持ちGTP結合型に固定されるNRAS(Q61X変異体)は、受容体型チロシンキナーゼ(RTK)からの入力と切り離された状態にあり、そのためRTK刺激によるシグナル伝達や発がんには野生型RASが不可欠なパートナーとなっていた。変異型NRASを発現するRAS欠損細胞において、野生型HRASの再導入は、シグナル伝達と形質転換の回復に十分であった。ヒトがん細胞における網羅的な依存性解析により、機能の分業化が明らかになった。すなわち、変異型NRASはMAPKシグナル伝達を促進し、野生型HRASはPI3K-AKT生存シグナル伝達を促進していた。その結果、アレル特異的RAS阻害剤やpan-RAS(ON)阻害剤は、近位RTKシグナル伝達や野生型HRASあるいはKRASの阻害剤と相乗的に作用し、このシグナル伝達の可塑性を克服した。pan-RAS(ON)阻害とHRAS阻害の併用は、調べたすべてのNRAS変異体に対して相乗効果を示し、特にQ61X変異体において高い感受性が認められた。これらの知見は、変異型NRASと野生型HRASとのシグナル伝達におけるパートナー関係を標的となり得る脆弱性として定義し、NRAS変異を有する悪性腫瘍に対するRAS二重阻害の生化学的な指針を提示する。
2026年9月8日号






