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線虫(Caenorhabditis elegans)の時空間近接アトラスによってMAPK p38がin vivoにおける表現型可塑性の発生因子であることが明らかに

A Caenorhabditis elegans spatiotemporal proximity atlas reveals the MAPK p38 as a generator of phenotypic plasticity in vivo

Research Resources

SCIENCE SIGNALING
5 May 2026 Vol 19, Issue 936
DOI: 10.1126/scisignal.aeb4530

Wang Yuan1, Luke A. Nunamaker1, Yi M. Weaver1, Benjamin P. Weaver1, 2, 3, *

  1. 1 Department of Pharmacology, University of Texas Southwestern Medical Center, Dallas, TX 75390, USA.
  2. 2 Department of Physiology, University of Texas Southwestern Medical Center, Dallas, TX 75390, USA.
  3. 3 Hamon Center for Regenerative Science and Medicine, University of Texas Southwestern Medical Center, Dallas, TX 75390, USA.
  4. * Corresponding author. Email: benjamin.weaver@utsouthwestern.edu

Editor’s summary

マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)p38は、発生過程と恒常性維持過程に関与し、ストレス適応において主要な役割を担う。Yuanらは、in vivo近接標識法を用いて、線虫(Caenorhabditis elegans)の発生過程、特定組織内、および多様なストレスへ応答する際のp38ホモログPMK-1のシグナル伝達ネットワークを調べた。コンピュータ解析と機能解析により、状況特異的に恒常的または動的にPMK-1と相互作用して表現型可塑性と生存に関与する因子が明らかになった。これらのデータは、環境条件変化への生物の適応を可能にする表現型可塑性が生じる過程でのp38の機能を理解する道を開くものである。—Annalisa M. VanHook

要約

表現型可塑性は、ゲノム情報を変化させることなく多様な形質を変化させる能力であり、生物が環境変化に適応するために必要である。マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路は、環境変化への細胞の適応において主要な役割を担う。動物の表現型可塑性に対するMAPK p38とその相互作用パートナーの関与を解析するために、われわれは、ContinuumIDと呼ばれるin vivo近接標識プロテオミクス法を確立した。この手法を用いて、発生過程、特定組織内、または浸透圧、紫外線、酸化というストレス要因に曝露された状態でのPMK-1の物理的相互作用因子のアトラスを構築した。そして、安定的かつ動的な、発生段階特異的、組織特異的、およびストレス特異的PMK-1相互作用因子を複数同定した。特異的相互作用因子をノックダウンさせた動物の表現型解析により、PMK-1依存性の多様な出力にかなりの変動が生じることが明らかになった。そのなかには、標的遺伝子の発現、ストレス下での生存、発生中のリソソーム恒常性、老化過程のニューロン完全性が含まれた。これらの出力に対して、PMK-1相互作用因子は機能経路内において、および機能経路を横断して、ポジティブにもネガティブにもニュートラルにも作用した。発生時およびストレス誘発性のPMK-1活性化と、その相互作用因子の制御機能の比較により、PMK-1が高度に保存されたタンパク質合成経路およびRNAプロセシング経路の制御と、急速に変化するシグナル伝達と代謝的適応の制御とを統合することによって、ストレス時に明確な生存上の利益または不利益をもたらすことが明らかになった。

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