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ハイライト:非定型シナプスにおける非定型ミトコンドリアとの味わいのある対話

Highlight: A tasteful conversation with atypical mitochondria at atypical synapses

Editor's Choice

Sci. Signal. 08 May 2018:
Vol. 11, Issue 529, eaat5326
DOI: 10.1126/scisignal.aat5326

George R. Dubyak

Department of Physiology and Biophysics, Case Western Reserve University, Cleveland, OH 44106, USA

R. A. Romanov, R. S. Lasher, B. High, L. E. Savidge, A. Lawson, O. A. Rogachevskaja, H. Zhao, V. V. Rogachevsky, M. F.Bystrova, G. D. Churbanov, I. Adameyko, T. Harkany, R. Yang, G. J. Kidd, P. Marambaud, J. C. Kinnamon, S. S.Kolesnikov, T. E. Finger, Chemical synapses without synaptic vesicles: Purinergic neurotransmission through a CALHM1 channel-mitochondrial signaling complex. Sci. Signal. 11, eaao1815 (2018). Abstract/FREE Full Text

非定型ミトコンドリアが、II型味細胞によって甘味、苦味、うま味を伝達する神経伝達物質として利用されるATPを産生する。

要約

化学シナプスでのエキソサイトーシスによる神経伝達物質放出は、神経系をもつ動物における主要な細胞間情報伝達様式である。この系統発生的に古いシグナル伝達経路は、並置された3つの細胞内コンパートメントの機能単位によって定義される:シナプス前の神経伝達物質小胞放出部位の局所領域、制限された細胞外のシナプス間隙、神経伝達物質受容体がクラスター化したシナプス後部位。しかし、脊椎動物の味覚感知のために、自然は、シナプス前の味細胞からエキソサイトーシスによらずATPを放出し、シナプス後の味覚神経のイオンチャネル型P2Xプリン受容体を標的とする、非定型的なシナプス伝達様式を発達させている。Science Signaling今週号では、Romanovらが、哺乳類味蕾のII型感覚細胞におけるこの非標準的化学シナプスを説明している。これらの修飾された上皮細胞は、甘味、苦味、うま味を呼び起こす味物質分子のさまざまなGタンパク質共役受容体を発現する。II型細胞と味覚神経終末のあいだのシナプスは、細胞内コンパートメントの基本的な三者並置を保持しているが、近位のシナプス前コンパートメントの構造と機能は非定型的である。ATPは神経分泌小胞内に納められ、エキソサイトーシスによって放出されると考えられるが、II型細胞にはそのような小胞や、Ca2+依存性エキソサイトーシスのためのSNARE依存性装置が欠けている。大きな孔をもつイオンチャネル数種類が、細胞外コンパートメントへの細胞質ATPのゲートされた流出を仲介することができる。pannexin-1(PANX1)チャネルがこの過程に不可欠であると提唱されているが、CALHM1(calcium homeostasis modulator)チャネルが、味物質の刺激によるATP放出の主要メディエーターであることが明らかになっている。機能的CALHM1チャネルは、脱分極によって開閉される六量体複合体であり、Ca2+およびATPに対する透過性が高い。これらの透過特性から、このシナプスが最適に機能するための2つの課題が示される:開口したCALHM1チャネルのシナプス前マイクロコンパートメント内で十分な局所[ATP]を産生し、味覚感知時のATP流出を維持しながら、同時にCa2+流入を妨げ、II型細胞内の細胞質Ca2+濃度の全体的上昇を最小限に抑えるには、どうすればよいのか。II型細胞は、クラスター化したCALHM1チャネルから30 nm以内に、拡大したクリステとATP貯蔵をもつ、非定型的に大きなミトコンドリアを並置することによって、このジレンマを解決している。これらの大きなミトコンドリアは、ATPが短い活動電位列においてシナプス間隙へと確実に流出するための準備貯蔵を提供する一方、Ca2+濃度上昇をシナプス内コンパートメントに限局させる物理的障壁にもなる。CALHM1チャネルとP2X受容体は中枢神経系内により幅広く発現することから、これらの非定型シナプスが、さらなる細胞間シグナル伝達経路に関与することが示唆される。

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