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新パートナーと昔ながらのダンスを:Cyp2Bの発現を媒介するフェノバルビタール受容体として働くEGF受容体

Old Dance with a New Partner: EGF Receptor as the Phenobarbital Receptor Mediating Cyp2B Expression

Perspectives

Sci. Signal., 7 May 2013
Vol. 6, Issue 274, p. pe16
[DOI: 10.1126/scisignal.2004239]

Sharon A. Meyer1* and Randy L. Jirtle2

1 Department of Toxicology, College of Pharmacy, University of Louisiana, Monroe, LA 71201, USA.
2 Department of Oncology, McArdle Laboratory for Cancer Research, University of Wisconsin, Madison, WI 53706, USA.

* Corresponding author. E-mail: meyer@ulm.edu

要約:Cyp2Bの活性化を媒介するフェノバルビタール(PhB)受容体の数十年にわたる探求は、PhBが上皮増殖因子受容体(EGFR)と薬理学的親和性によって結合することを示したMutohらの発見によって、その目的を果たしたものと思われる。この知見は、以前に腫瘍促進の状況下で指摘されたような、PhB治療で観察される肝細胞EGFRシグナル伝達の抑制に、分子的基盤を提供する。PhBに媒介される標準的な核内受容体とCyp2Bの5'-エンハンサー配列PBREMとの会合を通したCyp2Bの発現誘導については、よく知られているが、生体異物によって活性化される他の核内受容体の典型である構成的活性化アンドロスタン受容体(CAR、別名NR1I3)とPhBの直接的な結合は検出されていない。PhB-EGFR相互作用に影響される1つのEGF活性化経路として、足場タンパク質RACK1のチロシンリン酸化の消失が挙げられる。脱リン酸化されたRACK1は、PhBとEGFRの結合と、その結合がセリン・スレオニンホスファターゼPP2Aと非活性型リン酸化CARの相互作用を亢進することによってCARに及ぶ影響とのあいだを、機構的に結びつける。CARの脱リン酸化によって、CARの核への移動とCyp2B発現の活性化が可能になる。EGFRと、トランスデューサーRACK1、PP2A、およびその他のパートナーは、多数の細胞経路で高度にネットワーク化されているため、この新たに発見されたパートナーシップは、薬物代謝の調節にとどまらないPhBの新たな基本的役割を確実に明らかにするだろう。

S. A. Meyer, R. L. Jirtle, Old Dance with a New Partner: EGF Receptor as the Phenobarbital Receptor Mediating Cyp2B Expression. Sci. Signal. 6, pe16 (2013).

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