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E3ユビキチンリガーゼであるMDM2とHUWE1の基質ネットワークが、p53非依存的にアポトーシスを制御する

A Network of Substrates of the E3 Ubiquitin Ligases MDM2 and HUWE1 Control Apoptosis Independently of p53

Research Article

Sci. Signal., 7 May 2013
Vol. 6, Issue 274, p. ra32
[DOI: 10.1126/scisignal.2003741]

Manabu Kurokawa1*, Jiyeon Kim2†, Joseph Geradts3, Kenkyo Matsuura2, Liu Liu4, Xu Ran4, Wenle Xia5, Thomas J. Ribar2, Ricardo Henao6, Mark W. Dewhirst7, Wun-Jae Kim8, Joseph E. Lucas6, Shaomeng Wang4, Neil L. Spector5, and Sally Kornbluth2*

1 Department of Pharmacology and Toxicology, Geisel School of Medicine at Dartmouth, Hanover, NH 03755, USA.
2 Department of Pharmacology and Cancer Biology, Duke University Medical Center, Durham, NC 27710, USA.
3 Department of Pathology, Duke University Medical Center, Durham, NC 27710, USA.
4 Comprehensive Cancer Center, Department of Internal Medicine, and Department of Medicinal Chemistry, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
5 Department of Medicine, Duke University Medical Center, Durham, NC 27710, USA.
6 Institute for Genome Sciences and Policy, Duke University Medical Center, Durham, NC 27710, USA.
7 Department of Radiation Oncology, Duke University Medical Center, Durham, NC 27710, USA.
8 Department of Urology, College of Medicine, Chungbuk National University, Cheongju, Chungbuk 361-711, Korea.

† Present address: Children's Medical Center Research Institute, University of Texas Southwestern Medical Center, 5323 Harry Hines Boulevard, Dallas, TX 75390-8502, USA.

* Corresponding author. E-mail: manabu.kurokawa@dartmouth.edu (M.K.); sally.kornbluth@duke.edu (S.K.)

要約:

アポトーシスの内因性経路では、細胞傷害性シグナルがミトコンドリアからのチトクロムc放出を促進し、Apaf-1およびカスパーゼ9アポトソーム活性化のトリガーとして働いている。ユビキチンE3リガーゼのMDM2は、アポトーシス促進因子p53の安定性を低下させる。われわれは、MDM2がアポトソーム活性化因子のCASとユビキチンE3リガーゼのHUWE1をユビキチン化し、それによってアポトーシスイベントをp53非依存的に調和させていることも明らかにした。HUWE1は抗アポトーシス因子であるMcl-1をユビキチン化するが、われわれはまた、HUWE1がPP5(プロテインホスファターゼ5)もユビキチン化し、アポトソームの活性化を間接的に阻害することを認めた。チロシン受容体キナーゼHER2(ヒト上皮増殖因子受容体2)陽性である乳癌は、高度に侵襲的になる傾向がある。HER2チロシンキナーゼ阻害薬のラパチニブで処理したHER2陽性乳癌細胞では、MDM2は分解されHUWE1は安定化していた。対照的に、ラパチニブ耐性を獲得した乳癌細胞では、MDM2の量は減少していなかったがHUWE1は分解され、これがp53の状態にかかわらずアポトーシスを阻害していた。野生型またはp53突然変異の細胞、および異種移植モデルにおいて、MDM2の阻害はラパチニブ耐性を克服するものであった。これらの所見は、アポトーシスにおいてMDM2とHUWE1がp53非依存性の幅広い働きをもつことを示し、特に、ラパチニブ耐性の克服のためMDM2に向けた治療が可能であることを示唆している。

M. Kurokawa, J. Kim, J. Geradts, K. Matsuura, L. Liu, X. Ran, W. Xia, T. J. Ribar, R. Henao, M. W. Dewhirst, W.-J. Kim, J. E. Lucas, S. Wang, N. L. Spector, S. Kornbluth, A Network of Substrates of the E3 Ubiquitin Ligases MDM2 and HUWE1 Control Apoptosis Independently of p53. Sci. Signal. 6, ra32 (2013).

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