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ケラチノサイトのMETシグナル伝達はEGFRを活性化させ扁平上皮発がんを開始させる
MET signaling in keratinocytes activates EGFR and initiates squamous carcinogenesis
Sci. Signal. 21 Jun 2016:
Vol. 9, Issue 433, pp. ra62
DOI: 10.1126/scisignal.aaf5106
Christophe Cataisson, Aleksandra M. Michalowski, Kelly Shibuya, Andrew Ryscavage, Mary Klosterman, Lisa Wright, Wendy Dubois, Fan Liu, Anne Zhuang, Kameron B. Rodrigues, Shelley Hoover, Jennifer Dwyer, Mark R. Simpson, Glenn Merlino, and Stuart H. Yuspa*
Laboratory of Cancer Biology and Genetics, Center for Cancer Research, National Cancer Institute, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.
* Corresponding author. Email: yuspas@mail.nih.gov
要約
受容体チロシンキナーゼMETは、多くのヒト扁平上皮がん(SCC)に大量に存在するが、腫瘍形成におけるその機能的意義は不明である。われわれは、METリガンドHGFの存在量が増加しているトランスジェニックMT-HGF(マウスメタロチオネイン‐肝細胞増殖因子)マウスにおいて、発がん物質誘発性の皮膚扁平上皮腫瘍の発生率が大幅に上昇することを見出した。MT-HGFマウスの皮膚では、創傷によって、またはプロテインキナーゼCの活性化因子である12-O-テトラデカノイルホルボール13-アセテートの塗布によって促進される、扁平上皮腫瘍の自然発生も認められた。発がん物質によって開始された腫瘍にはRas変異が認められたが、自然発生の腫瘍には認められなかった。MT-HGFマウスに由来する培養ケラチノサイトと、発がん性RASを形質導入したケラチノサイトは、キナーゼSRC、偽プロテアーゼiRhom1およびiRhom2、メタロペプチダーゼADAM17によって仲介される、上皮成長因子受容体(EGFR)リガンドの合成および放出の増加によるEGFRのオートクリン活性化に依存する、開始の表現型特性と生化学的特性を共有していた。MT-HGFケラチノサイトを皮膚線維芽細胞と混合し、同系マウスに移植した同所移植片において自然に発生した、MT-HGF扁平上皮腫瘍は、EGFRの薬理学的阻害によって退縮した。METにより形質転換したケラチノサイトの網羅的遺伝子発現プロファイルは、RASにより形質転換したケラチノサイトのプロファイルとの一致度が高く、中心的なRAS/MET共発現ネットワークは、前がん性およびがん性ヒト皮膚病変において活性化された。組織アレイにより、多くのヒト皮膚SCCに、HGFが転写物レベルでもタンパク質レベルでも大量に存在することが明らかになった。このように、EGFRの活性化を通じてMET活性化はRAS経路に類似し、ヒトおよびマウスの皮膚がんに関与する。
Citation: C. Cataisson, A. M. Michalowski, K. Shibuya, A. Ryscavage, M. Klosterman, L. Wright, W. Dubois, F. Liu, A. Zhuang, K. B. Rodrigues, S. Hoover, J. Dwyer, M. R. Simpson, G. Merlino, S. H. Yuspa, MET signaling in keratinocytes activates EGFR and initiates squamous carcinogenesis. Sci. Signal. 9, ra62 (2016).