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蛍光ツールによる経時的シグナル伝達ダイナミクスの可視化と操作

Visualizing and Manipulating Temporal Signaling Dynamics with Fluorescence-Based Tools

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Sci. Signal., 1 April 2014
Vol. 7, Issue 319, p. re1
[DOI: 10.1126/scisignal.2005077]

David P. Doupé1* and Norbert Perrimon1,2*

1 Department of Genetics, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
2 Howard Hughes Medical Institute, Boston, MA 02115, USA.

* Corresponding author. E-mail: doupe@genetics.med.harvard.edu (D.P.D.); perrimon@receptor.med.harvard.edu (N.P.)

要約

 ゲノムワイドプロテオミクスとRNA干渉による手法を用いることによって、シグナル伝達に関するわれわれの理解は、直線的経路からコアとなるノードを中心とする高度に統合されたネットワークへと深まっている。ところが、そのようなネットワークを介した情報の流れのダイナミクスを探索することは、まだ技術的に困難である。とくに、単一の細胞種において個々の経路の経時的なダイナミクスが異なる結果を誘発しうる仕組みと、複数の経路が順次または同時に相互作用して細胞の運命に影響するかもしれない仕組みは、多くの状況において不明のままである。経路活性に関する蛍光ベースのレポーターと光遺伝学的な制御因子を開発すれば、生きたままの細胞と生物のシグナル伝達を前例のない時空間的な解像度で解析でき、こうした重要な問題に対処できるようになる見込みがある。われわれは、細胞制御における経時的ダイナミクスの重要性を示すエビデンスについて概要を簡単に説明し、これらの蛍光ツールを紹介し、シグナル伝達ネットワークを介した情報の流れのダイナミクスを探索するためにこれらのツールを活用した特異的な研究に光を当てる。なかでも、われわれが注目する2つの研究は、線虫(Caenorhabditis elegans)の感覚ニューロンと哺乳類の培養細胞を用いて、細胞応答の決定におけるシグナルダイナミクスの重要性を示している。

D. P. Doupé, N. Perrimon, Visualizing and Manipulating Temporal Signaling Dynamics with Fluorescence-Based Tools. Sci. Signal. 7, re1 (2014).

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