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炎症性腸疾患の免疫病態形成におけるNF-κBシグナル伝達系

The NF-κB signaling system in the immunopathogenesis of inflammatory bowel disease

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SCIENCE SIGNALING
9 Jan 2024 Vol 17, Issue 818
[DOI: 10.1126/scisignal.adh1641]

Tapas Mukherjee1, 2, *, Naveen Kumar1, Meenakshi Chawla1, Dana J. Philpott2, Soumen Basak1, *

  1. 1 Systems Immunology Laboratory, National Institute of Immunology, Aruna Asaf Ali Marg, New Delhi 110067, India.
  2. 2 Department of Immunology, University of Toronto, Toronto, ON M5S 1A8, Canada.

* Corresponding author. Email: tapas. mukherjee@utoronto.ca (T.M.); sobasak@nii.ac.in (S.B.)

要約

炎症性腸疾患(IBD)は、消化管の炎症エピソードを特徴とする特発性の慢性疾患である。核内因子κB(NF-κB)系は、二量体転写因子のファミリーを表す。標準的NF-κBシグナル伝達は、炎症によって刺激され、炎症を増強する一方、非標準的なNF-κBシグナル伝達は免疫器官形成に寄与する。NF-κB因子の調節不全は、IBDを含むさまざまな炎症性病変を引き起こす。多数の免疫センサーからのシグナルが腸のNF-κBサブユニットを活性化し、局所細菌叢と宿主応答の間の平衡を維持する。IBD患者および前臨床マウスモデルの遺伝子関連解析により、腸での宿主防御におけるNF-κB系の重要性が確認されている。他の研究では、腸のバリア機能やIBDに伴う炎症性腸病変におけるこれらの因子の役割が検討されている。NF-κBシグナル伝達は、自然および適応免疫応答を調節するとともに、腸における免疫調節性タンパク質、抗炎症性サイトカイン、抗菌ペプチドやその他の免疫寛容誘導因子の産生を調節する。さらに、遺伝学的研究では、IBDに伴う症状の病因病理に寄与する、腸の免疫恒常性、炎症および回復において、NF-κBタンパク質がきわめて重要な細胞種特異的な役割を果たすことが明らかにされている。本稿では、異常な腸炎症の促進において、異なる腸細胞種で特異的リガンドによって活性化される、これらのNF-κB経路の役割と、そのクロストークに関する知識を要約する。われわれは、異常な免疫シグナル伝達機構の徹底的な理解が、予測または予後バイオマーカーを同定し、炎症性腸病変に対するよりよい治療法を開発するための鍵を握る可能性があると主張する。

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