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アルデヒド脱水素酵素ALDH1B1はアダプターMAVSの凝集を介して抗ウイルス作用を発揮する

The aldehyde dehydrogenase ALDH1B1 exerts antiviral effects through the aggregation of the adaptor MAVS

Research Article

SCIENCE SIGNALING
9 Jan 2024 Vol 17, Issue 818
[DOI: 10.1126/scisignal.adf8016]

Nina Sun1, 2, †, Qiaomei Cai2, †, Yurui Zhang2, Rong-Rong Zhang3, Jingmei Jiang1, Heng Yang2, *, Cheng-Feng Qin3, *, Genhong Cheng4, *

  1. 1 Institute of Basic Medical Sciences, Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical College, Beijing 100005, China.
  2. 2 National Key Laboratory of Immunity and Inflammation, Suzhou Institute of Systems Medicine, Chinese Academy of Medical Sciences & Peking Union Medical College, Suzhou 215123, Jiangsu, China.
  3. 3 State Key Laboratory of Pathogen and Biosecurity, Beijing Institute of Microbiology and Epidemiology, Beijing 100071, China.
  4. 4 Department of Microbiology, Immunology, and Molecular Genetics, University of California, Los Angeles, Los Angeles, CA 90095, USA.

* Corresponding author. Email: gcheng@mednet.ucla.edu (G.C.); qincf@bmiac.cn (C.-F. Q.); yhmyt@hotmail.com (H.Y.)

† These authors contributed equally to this work.

Editor's summary

受容体RIG-IによるRNAベースのウイルスの検出は、ミトコンドリアタンパク質MAVSの凝集を誘導し、それにより宿主防御に重要な炎症誘発性サイトカインの産生が刺激される。Sunらは、この抗ウイルス応答が、エタノール代謝に関与するミトコンドリアに局在するアルデヒド脱水素酵素であるALDH1B1によって増強されることを発見した。ALDH1B1は、臨床的に関連するRNAウイルスの感染によってその量が増加し、ウイルスの複製を制限した。ALDH1B1とMAVSの相互作用により、その凝集とRIG-Iとの結合が強化された。ALDH1B1欠損マウスは、肺のウイルス力価が高く、より重篤な肺損傷を発症し、A型インフルエンザ感染から生存する確率が低かった。このように、ALDH1B1は、RIG-IおよびMAVSによって開始される抗ウイルスシグナル伝達経路を促進する。—Wei Wong

要約

I型インターフェロン(IFN)は、ほぼすべて細胞種で産生され、ウイルス感染に対する宿主防御に重要な役割を果たす。RNAウイルスに感染すると、RIG-Iなどの受容体が活性化され、その結果アダプタータンパク質MAVSがRIG-I様受容体(RLR)シグナロソームに動員され、MAVSのプリオン様機能的凝集体が形成され、IFN-βの産生が引き起こされる。今回われわれは、アルデヒド脱水素酵素1B1(ALDH1B1)を、これまで特徴づけられていない、抗ウイルス応答において重要な役割を持つIFN刺激遺伝子(ISG)産物と同定した。ALDH1B1のノックアウトでは、水疱性口内炎ウイルス(VSV)、ジカウイルス(ZIKV)、デング熱ウイルス(DENV)、およびA型インフルエンザウイルス(IAV)などのRNAウイルスの複製が増加したが、ALDH1B1の過剰発現では、それが制限された。われわれは、ALDH1B1がミトコンドリアに局在し、そこでMAVSの膜貫通ドメインと相互作用してMAVSの凝集を促進することを発見した。ALDH1B1はMAVS凝集体に動員された。加えて、ALDH1B1は活性化されたRIG-IとMAVSの間の相互作用も強化し、それによりIFN-βの産生と抗ウイルス応答を増加させた。さらに、Aldh1b1−/−マウスは、IAV感染時に野生型マウスよりも重篤な症状を発症した。合わせると、これらのデータはMAVS媒介シグナル伝達と抗ウイルス応答を機能的に調節するミトコンドリアのアルデヒド脱水素酵素を同定する。

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