依存症の生物学

The biology of addiction

Reviews

SCIENCE SIGNALING
4 Feb 2025 Vol 18, Issue 872
DOI: 10.1126/scisignal.adq0031

Eric J. Nestler*

Nash Family Department of Neuroscience and Friedman Brain Institute, Icahn School of Medicine at Mount Sinai, New York, NY 10029, USA.

  1. * Corresponding author. Email: eric.nestler@mssm.edu

要約

現代の遺伝学と神経生物学のツールによって、薬物依存症の病態生理学に関するわれわれの理解を進展させてきた研究のルネサンスが推進されている。われわれは、個人の依存症リスクが遺伝学と環境の相互作用によって決まること、そして、依存状態を誘発するこの脆弱性に作用する能力を共有しているのはほんの一部の化学薬品のみであることを知っている。そのような薬物に繰り返し曝露すると、脳内で繰り返されるドーパミン作動性神経伝達の活性化(および他の多くの作用)を介して依存症が引き起こされ、大脳辺縁系の至る所で回路網を経時的に再配線するような変化が分子レベル、細胞レベル、シナプスレベルで誘発される。本レビューでは、この薬物誘発性の可塑性――その一部はすべての依存性薬物に共通するが、それ以外の点は特定の薬物クラスに特異的である――と、こうした順応が依存状態を規定する行動異常の範囲を調節する仕組みついて、われわれがより鮮明に把握しつつある現状を考察する。課題はあるものの、依存症に関するこの豊かな生物学的理解が薬物依存症に苦しむ世界中の多くの患者の治療改善につながるという楽観論には根拠がある。

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