• ホーム
  • アポトーシス、幹細胞と組織再生

アポトーシス、幹細胞と組織再生

Apoptosis, Stem Cells, and Tissue Regeneration

Reviews

Sci. Signal., 26 October 2010
Vol. 3, Issue 145, p. re8
[DOI: 10.1126/scisignal.3145re8]

Andreas Bergmann1* and Hermann Steller2*

1 Department of Biochemistry and Molecular Biology, M. D. Anderson Cancer Center, 1515 Holcombe Boulevard, Houston, TX 77030, USA.
2 Howard Hughes Medical Institute, Rockefeller University, 1230 York Avenue, New York, NY 10021, USA.

* Corresponding authors. E-mail: abergman@mdanderson.org (A.B.); steller@rockefeller.edu (H.S.)

要約:後生動物のほとんどは、損傷した細胞と組織を再生させる能力を少なくともある程度もっているが、その再生 能は、種や器官、あるいは発生段階によってさまざまである。細胞の置換と再生は、2つの状況で起こる。すなわち、組織の恒常性における消耗した細胞の再生 (恒常的増殖)と、外傷、損傷、あるいは切断に反応しての再生(付加形成)である。顕著な再生能を示すモデル生物には、両生類、プラナリア、ヒドラ(Hydra)、 脊椎動物の肝臓などがある。さらに、皮膚、腸、腎臓、筋肉、あるいはヒト神経系などのいくつかの哺乳類器官にも、消耗または損傷した細胞を置換するある程 度の能力がある。再生反応は複雑であるが、通常は、芽体の形成によって新たな細胞増殖が誘導され、続いて細胞の特異化、分化、パターン形成が起こる。幹細 胞と未分化前駆細胞は、組織恒常性と組織再生の両方に重要な役割を果たす。幹細胞は、成体の組織において通常は静止期にいるか、もしくはゆっくりと細胞周 期を回転しているが、細胞の消失または損傷に反応して活性化されることもある。主にショウジョウバエ(Drosophila)やヒドラ、アフリカツメガエル(Xenopus)、 マウスで実施された、一連の研究によって、幹細胞と前駆細胞の増殖を刺激して組織再生を助ける分裂促進シグナルの生成に、アポトーシス性カスパーゼが予想 外の役割を果たすことが明らかになっている。このReviewでは、重要な知見をいくつか要約し、幹細胞の生物学やがんとの関連性を論じる。

A. Bergmann, H. Steller, Apoptosis, Stem Cells, and Tissue Regeneration. Sci. Signal. 3, re8 (2010).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2010年10月26日号

Editor's Choice

幹細胞
領域による違い

Research Article

二重GTPase活性化タンパク質ARAP3を介したPI3Kシグナル伝達が発生時の血管新生に必須である

生細胞内でのホモ二量体化による3-ホスホイノシチド依存性タンパク質キナーゼ1の活性制御

Perspectives

側方抑制の「おち」を果たす:タイミングがすべて

Reviews

アポトーシス、幹細胞と組織再生

最新のReviews記事

2024年1月9日号

炎症性腸疾患の免疫病態形成におけるNF-κBシグナル伝達系

2024年1月2日号

TAOキナーゼの多面的機能と神経障害におけるそれらの調節不全

2023年5月2日号

炎症に対する機械感覚:自然免疫細胞におけるYAP/TAZの役割

2023年3月14日号

NF-κB複合二量体系モデル:多様な生物学的状況を検討するための知識ベース

2022年11月8日号

腫瘍微小環境における発がん性シグナル伝達経路の代謝産物活性化