- ホーム
- TLR4の定量的単一分子イメージングによってリガンド特異的な受容体の二量体化が明らかに
TLR4の定量的単一分子イメージングによってリガンド特異的な受容体の二量体化が明らかに
Quantitative single-molecule imaging of TLR4 reveals ligand-specific receptor dimerization
Sci. Signal. 31 Oct 2017:
Vol. 10, Issue 503, eaan1308
DOI: 10.1126/scisignal.aan1308
Carmen L. Krüger1, Marie-Theres Zeuner2, Graeme S. Cottrell3, Darius Widera2, and Mike Heilemann1,*
1 Institute of Physical and Theoretical Chemistry, Goethe University, Max von Laue Straβe 7, 60438 Frankfurt/Main, Germany.
2 Stem Cell Biology and Regenerative Medicine, School of Pharmacy, University of Reading, Hopkins Building, Whiteknights, Reading RG6 6UB, UK.
3 Cellular and Molecular Neuroscience, School of Pharmacy, University of Reading, Hopkins Building, Whiteknights, Reading RG6 6UB, UK.
* Corresponding author. Email: heilemann@chemie.uni-frankfurt.de
要約
ヒトでは、侵入した病原体はToll様受容体(TLR)によって認識される。グラム陰性細菌の細胞壁由来のリポ多糖(LPS)を認識すると、TLR4は二量体化し、MyD88依存性の炎症誘発性経路とMyD88非依存性の抗ウイルス経路という2つの異なるシグナル伝達経路を刺激しうる。この2つの経路間のバランスはリガンドに依存し、侵入した病原体が宿主免疫応答を活性化するか回避するかは、リガンドの構成によって決定される。われわれは、無傷細胞において、さまざまなLPS化学種に応答したTLR4の二量体化の挙動を定量的単一分子局在顕微鏡で観察した。定量的超解像データでは、遺伝子導入HEK 293細胞において、TLR4は共受容体MD2、CD14の非存在下では単量体であることが示された。TLR4がMD2、CD14と共存するがLPSがない場合は、TLR4の52%が単量体、48%が二量体として存在した。大腸菌(Escherichia coli)またはサルモネラ・ミネソタ(Salmonella minnesota)由来のLPSは、二量体TLR4複合体の形成を引き起こしたが、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)由来の拮抗性LPS化学種では、細胞表面のTLR4は単量体のままであった。さらにわれわれは、LPSに依存した二量体化にはNF-κBシグナル伝達の活性化が必要であることも明らかにした。まとめると、今回のデータは、細胞環境におけるTLR4の二量体化がリガンドに依存することを実証するものであり、受容体TLR4より下流のシグナル伝達の偏りについて分子レベルで理解するための地固めとなった可能性がある。
Citation: C. L. Krüger, M.-T. Zeuner, G. S. Cottrell, D. Widera, M. Heilemann, Quantitative singlemolecule imaging of TLR4 reveals ligand-specific receptor dimerization. Sci. Signal. 10, eaan1308 (2017).