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細菌のセリン-スレオニンキナーゼのアトラスが機能的多様性や真核生物キナーゼとの重要な違いを明らかにする

An atlas of bacterial serine-threonine kinases reveals functional diversity and key distinctions from eukaryotic kinases

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SCIENCE SIGNALING
6 May 2025 Vol 18, Issue 885
DOI: 10.1126/scisignal.adt8686

Brady O’Boyle1, Wayland Yeung2, Jason D. Lu1, Samiksha Katiyar2, Tomer M. Yaron-Barir3, 4, 5, Jared L. Johnson3, 6, 7, Lewis C. Cantley3, 6, 7, Natarajan Kannan1, 2, *

  1. 1 Department of Biochemistry & Molecular Biology, University of Georgia, Athens, GA 30602, USA.
  2. 2 Institute of Bioinformatics, University of Georgia, Athens, GA 30602, USA.
  3. 3 Meyer Cancer Center, Weill Cornell Medicine, New York, NY 10021, USA.
  4. 4 Englander Institute for Precision Medicine, Institute for Computational Biomedicine, Weill Cornell Medicine, New York, NY 10021, USA.
  5. 5 Columbia University Vagelos College of Physicians and Surgeons, New York, NY 10032, USA.
  6. 6 Department of Cell Biology, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
  7. 7 Dana-Farber Cancer Institute, Harvard Medical School, Boston, MA 02215, USA.
  8. * Corresponding author. Email: nkannan@uga.edu

Editor's summary

細菌のセリン-スレオニンキナーゼは、細胞増殖と病原性を制御することから、抗菌薬開発における標的候補となる。O'Boyleらは、300,000を超える細菌セリン-スレオニンキナーゼを解析し、触媒ドメインに共通の類似性に基づき、それらをキナーゼと偽キナーゼのファミリーに分類した。多くのファミリーが、付加的な機能ドメインの特有なセットの存在により特徴づけられた。解析により、細菌のセリン-スレオニンキナーゼと真核生物のセリン-スレオニンキナーゼとを区別する特徴も特定された。このアトラスは、細菌のセリン-スレオニンキナーゼの進化を理解するためのリソースであり、新規抗生物質開発の取り組みに有用な情報をもたらす可能性がある。—Annalisa M. VanHook

要約

細菌のセリン-スレオニンキナーゼ(STK)は、細胞増殖、毒性および病原性に関わるさまざまな細胞過程を制御し、創薬可能な真核生物のSTKと進化的に関連がある。新たな抗生物質治療の発見と開発を前進させるためには、細菌STKが真核生物STKとどのように異なるのか、また細菌STKはどのようにして多様な細菌シグナル伝達機能を制御するように進化したのかをより深く理解することが不可欠である。今回われわれは、NCBI RefSeq非冗長タンパク質データベースおよびUniProtタンパク質データベースから取得した300,000を超える細菌STK配列を、保存された触媒ドメインと隣接する制御ドメインの進化的制約のパターンに基づき、35の古典的ファミリーと7つの偽キナーゼファミリーに分類した。統計学的比較によって、細菌STKと真核生物STKを区別する特徴を特定し、そのうちの1つは、キナーゼドメインのATPおよび基質結合葉を動的につなぐ制御ヘリックス(Cヘリックス)のアルギニン残基であった。生化学的およびペプチドライブラリスクリーニングにより、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)のキナーゼPknBにおいて、進化的に制約された残基が基質特異性とキナーゼ活性化に寄与することが示された。総合すると、これらの結果は、細胞内シグナル伝達における細菌STKの機能の検討や、細菌STKの選択的阻害剤の開発に向けた、未同定の道を開くものである。

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2025年5月6日号

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