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神経科学
細胞外miRNAが痛みをもたらす

Neuroscience
Extracellular miRNAs Mediate Pain

Editor's Choice

Sci. Signal., 8 April 2014
Vol. 7, Issue 320, p. ec90
[DOI: 10.1126/scisignal.2005342]

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

C.-K. Park, Z.-Z. Xu, T. Berta, Q. Han, G.-C. Chen, X.-J. Liu, R.-R. Ji, Extracellular microRNAs activate nociceptor neurons to elicit pain via TLR7 and TRPA1. Neuron 82, 47–54 (2014). [Abstract]

マイクロRNA(miRNA)は、細胞内の標的転写産物に結合することによって遺伝子発現を調節する短いRNA配列である。しかし、miRNAは循環血液中および脳脊髄液中でも検出可能で、Toll様受容体7(TLR7)によって認識され、miRNAであるlet-7を細胞外に添加すると、TLR7に仲介されて皮質ニューロンのアポトーシスが引き起こされる。またTLR7は、疼痛に関連する後根神経節(DRG)ニューロン上にも存在することから、Parkらは、DRGニューロンがlet-7bに応答するかどうかを調べた。野生型マウスから分離されたマウスDRGニューロンの電気生理学的解析では、典型的に侵害受容性である小径ニューロンがlet-7bに応答して内向きの流れを生み、この流れはlet-7bのGUUGUGUモチーフを変異させることで無効になることが示されたが、TLR7ノックアウトマウスの場合には内向きの流れは生じなかった。カルシウムチャネルである一過性受容器電位チャネルA1(TRPA1)を薬理学的に阻害すると、let-7bに対するこの応答は遮断され、TRPA1ノックアウトマウス由来のDRGニューロンも応答できなかった。いくつかの細胞内シグナル伝達成分を薬理学的または遺伝学的に阻害しても、let-7bに仲介される内向きの流れは妨げられなかったことから、TRPA1とTLR7はこの応答を生じさせるために直接的に相互作用する可能性が示唆された。実際に、TRPA1とTLR7を共発現するヒト胎児由来腎臓293(HEK293)細胞では、let-7bはTLR7を発現する細胞に結合し、let-7b、TRPA1、およびTLR7は共局在し、TRPA1とTLR7は免疫共沈降し、この相互作用は細胞をlet-7bに暴露させることによって促進された。TLR7欠損ニューロンでは、TRPA1単一チャネルの活性が低下し、細胞表面のTRPA1量が減少したことから、TLR7がこのチャネルの機能とこのチャネルによる細胞表面への輸送の両方に影響する可能性を示唆された。ホルマリンは侵害受容性DRGニューロンでTRPA1に仲介される電流を誘発し、この応答はlet-7b阻害薬によって弱められた。ホルマリンまたはカプサイシン(2つの痛覚発生刺激)で処理した、またはKClで脱分極された培養DRGニューロンはlet-7bを培地に放出した。let-7bをマウスの足蹠に注射すると疼痛に関連する行動が生じたが、そのような行動は、TLR7ノックアウトマウスではみられず、TRPA1ノックアウトマウスでは減少し、TRPA1拮抗薬で前処理すると用量依存的に減少した。高濃度のlet-7bを注射すると異痛(非侵害刺激による疼痛)が生じ、それが数日間続いた。let-7b阻害薬で前処理すると、ホルマリンに誘発される疼痛は予防された。このように、let-7bの放出は、TLR7に結合してTRPA1を活性化することによって炎症痛をもたらしているようである。

N. R. Gough, Extracellular miRNAs Mediate Pain. Sci. Signal. 7, ec90 (2014).

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2014年4月8日号

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細胞外miRNAが痛みをもたらす

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