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がん免疫学
免疫監視を妨害する

Cancer Immunology
Sabotaging Immunosurveillance

Editor's Choice

Sci. Signal., 22 April 2014
Vol. 7, Issue 322, p. ec105
[DOI: 10.1126/scisignal.2005395]

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA 7

P. Vantourout, C. Willcox, A. Turner, C. M. Swanson, Y. Haque, O. Sobolev, A. Grigoriadis, A. Tutt, A. Hayday, Immunological visibility: Posttranscriptional regulation of human NKG2D ligands by the EGF receptor pathway. Sci. Transl. Med. 6, 231ra49 (2014). [PubMed]

免疫細胞は、がん細胞を認識し破壊することによって、腫瘍の増殖を制限することができる。ナチュラルキラー(NK)細胞と細胞傷害性T細胞は、受容体NKG2D(NKグループ2、メンバーD)を介して、主要組織適合複合体(MHC)クラスI関連A鎖およびB鎖タンパク質(MICA/B)とUL16結合タンパク質(ULBP)によって活性化される。これらの膜結合型NKG2Dリガンドの存在量は、感染時またはがん化時に細胞表面で増加する。Vantouroutらは、腫瘍細胞の上皮成長因子受容体(EGFR)またはマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路を阻害する一般的な抗がん治療によって、これらのNKG2Dリガンドの表面存在量も減少し、その結果これらの細胞の免疫標的化が消失する可能性があることを見出した。皮膚細胞を紫外線B(UVB)に曝露するとEGFRシグナル伝達が活性化されるが、培養ヒト初代およびHaCatケラチノサイトをUVBに曝露すると、細胞表面でMICA、MICB、ULBP2の量が増加した。UVBはDNA損傷を引き起こしうるが、その他のDNA損傷剤によって、HaCat細胞におけるMICA mRNAの存在量は増加しなかったことから、MICAの誘導は、DNA損傷に対する応答に関与する経路に依存しないことが示唆された。HaCat培養細胞をAG1478(EGFRに選択性を示すチロシンキナーゼ阻害薬)で処理すると、UVB誘発性のMICA発現が阻害された。一方、HaCat細胞にEGFを添加すると、MICA発現が誘導されたが、EGFR欠損HCT116細胞にEGFを添加してもそのような誘導はみられなかった。治療に用いられるEGFR阻害剤またはMAPKシグナル伝達阻害剤は、NKG2Dリガンド細胞表面存在量のEGF刺激による増加を妨げた。EGFはHaCat細胞においてMICAおよびMICB mRNAを安定化させ、mRNA分解因子であるAUF1の核からの排除を誘導した。HaCat細胞にAUF1が過剰発現すると、NKG2Dリガンドの細胞表面存在量が減少した。初代乳がん細胞株パネルや患者腫瘍において、NKG2Dリガンドをコードする遺伝子の発現と、AUF1をコードする遺伝子の発現とのあいだに逆相関が認められたが、EGFRの発現とのあいだには正の相関が認められた。初代末梢血単核細胞を、EGFで前処理したHaCat細胞と共培養すると、未処理のHaCat細胞と共培養した場合と比べて、NK細胞活性化のマーカーの表面存在量が増加し、この効果はNKG2Dに対する抗体によって阻害された。これらの結果は、一部のがん治療が、腫瘍増殖と免疫認識を仲介する経路を遮断することによって、両刃の剣となる可能性があることを示している。

L. K. Ferrarelli, Sabotaging Immunosurveillance. Sci. Signal. 7, ec105 (2014).

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