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Met阻害時のシグナル伝達の動的リプログラミングによって胃がんの薬剤耐性機構が明かされる

Dynamic Reprogramming of Signaling Upon Met Inhibition Reveals a Mechanism of Drug Resistance in Gastric Cancer

Research Article

Sci. Signal., 22 April 2014
Vol. 7, Issue 322, p. ra38
[DOI: 10.1126/scisignal.2004839]

Andrea Z. Lai1,2, Sean Cory2,3, Hong Zhao2,4, Mathieu Gigoux2, Anie Monast2, Marie-Christine Guiot5,6, Sidong Huang1,2, Ali Tofigh2,3, Crista Thompson2, Monica Naujokas2, Victoria A. Marcus5, Nicholas Bertos2,4, Bita Sehat2, Rushika M. Perera2,7, Emily S. Bell1,2, Brent D. G. Page8, Patrick T. Gunning8, Lorenzo E. Ferri7, Michael Hallett2,3, and Morag Park1,2,5,9*

1 Department of Biochemistry, McGill University, Montréal, Québec H3A 0G4, Canada.
2 Rosalind and Morris Goodman Cancer Research Centre, McGill University, Montréal, Québec H3A 0G4, Canada.
3 McGill Centre for Bioinformatics, Montréal, Québec H3A 0G4, Canada.
4 Breast Cancer Functional Genomics Group, McGill University, Montréal, Québec H3A 0G4, Canada.
5 Department of Pathology, McGill University, Montréal, Québec H3A 0G4, Canada.
6 Montréal Neurological Institute, McGill University, Montréal, Québec H3A 2B4, Canada.
7 Department of Surgery, McGill University, Montréal, Québec H3A 0G4, Canada.
8 Department of Chemical and Physical Sciences, University of Toronto Mississauga, Mississauga, Ontario L5L 1C6, Canada.
9 Department of Oncology, McGill University, Montréal, Québec H3A 0G4, Canada.

* Corresponding author. E-mail: morag.park@mcgill.ca

要約:Met受容体チロシンキナーゼは、一部の胃がんで活性化または遺伝的に増幅されるが、Met低分子阻害薬に対する耐性が患者でみられることも多い。われわれは、Metの存在量が患者の胃腫瘍切片中の増殖マーカーと関連しており、METの増幅している胃がん細胞株は培養中の増殖と足場非依存性増殖でMetに依存していることを見出した。Metを阻害すると、この細胞株における遺伝子発現に経時的変化が誘発され、まず転写因子をコードする遺伝子の発現の急速な減少で始まり、次に上皮間葉転換に関与するタンパク質をコードする遺伝子の発現減少が続き、最後に細胞周期に関連するタンパク質をコードする遺伝子の発現が減少した。胃がん細胞株を用いたマイクロアレイとクロマチン免疫沈降解析では、Metの刺激に応じて制御される遺伝子とシグナル伝達性転写因子3(STAT3)によって制御される遺伝子がかなり重複していることが明らかになった。Metを阻害すると、STAT3、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)、およびAktキナーゼの活性が低下したが、培養中および異種移植片においてMet阻害薬と同じくらい効果的に腫瘍細胞の増殖を減少させたのはSTAT3阻害薬のみであったことから、Metに誘発される増殖促進プログラムをSTAT3が調節していることを示唆している。ところが、培養中にMetの阻害を延長させると、その後、ERKのリン酸化が増加し、ERKを抑制するホスファターゼDUSP4およびDUSP6の存在量の減少との相関がみられた。Metの阻害とマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)–ERK経路の阻害を組み合わせると、どれか1つの阻害薬のみの場合に比べて、培養胃がん細胞でより大規模な細胞死が誘発された。これらの知見は、併用療法によってMet阻害薬への耐性に対抗できる可能性を示している。

A. Z. Lai, S. Cory, H. Zhao, M. Gigoux, A. Monast, M.-C. Guiot, S. Huang, A. Tofigh, C. Thompson, M. Naujokas, V. A. Marcus, N. Bertos, B. Sehat, R. M. Perera, E. S. Bell, B. D. G. Page, P. T. Gunning, L. E. Ferri, M. Hallett, M. Park, Dynamic Reprogramming of Signaling Upon Met Inhibition Reveals a Mechanism of Drug Resistance in Gastric Cancer. Sci. Signal. 7, ra38 (2014).

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