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生理学
いざという時、あなたはニンジュリンになりますか?

Physiology
When the Moment Is Right, Will You Be Ninjurin?

Editor's Choice

Sci. Signal., 8 July 2014
Vol. 7, Issue 333, p. ec185
[DOI: 10.1126/scisignal.2005663]

Jason D. Berndt

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

G. N. Yin, M. J. Choi, W. J. Kim, M.-H. Kwon, K.-M. Song, J.-M. Park, N. D. Das, K.-D. Kwon, D. Batbold, G. T. Oh, G. Y. Koh, K.-W. Kim, J.-K. Ryu, J.-K. Suh, Inhibition of Ninjurin 1 restores erectile function through dual angiogenic and neurotrophic effects in the diabetic mouse. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 111, E2731–E2740 (2014). [Abstract] [Full Text]

陰茎勃起は、性的刺激によって海綿体の神経および血管内皮による一酸化窒素(NO)の産生が誘発されると起きる。NOは平滑筋内でグアニル酸シクラーゼを局所的に活性化して環状グアノシン一リン酸(cGMP)を産生し、cGMPは細胞骨格の弛緩と血管拡張を促進する。cGMPは5型ホスホジエステラーゼ(PDE5)によって分解されるので、PDE5阻害薬であるシルデナフィル(バイアグラ)、タダラフィル(シアリス)、バルデナフィル(レビトラ)は勃起不全(ED)の治療に用いられる。糖尿病などの末梢神経血管系の病理に起因するEDの患者は、NOの生物学的利用能に限りがあり、したがってPDE5阻害薬にはあまり反応しない。Yinらは、薬理学的に誘発された糖尿病を有するマウスを用いて、神経変性疾患における炎症と胚発生過程の血管退縮に関連する同親性細胞接着タンパク質のニンジュリン1がEDに関与している可能性を調べた。糖尿病マウスでは、陰茎内のニンジュリン1の量が増加しており、電気的に誘発される勃起反応は低下していた。ニンジュリン1機能阻害抗体の単回注射を陰茎に受けてから2週間後の糖尿病マウスまたはニンジュリン1をノックアウトさせた糖尿病マウスでは、正常な勃起反応がみられた。糖尿病マウスの陰茎では、血管内皮、内皮細胞増殖、神経細胞マーカー、神経栄養因子が減少し、活性酸素種、内皮細胞死、浸潤性ニンジュリン1陽性マクロファージ数が増加していたが、ニンジュリン1抗体の陰茎注射を受けた糖尿病マウスまたはニンジュリン1ノックアウト糖尿病マウスではそのような増減は認められなかった。また、糖尿病マウスの陰茎では、受容体型チロシンキナーゼTie2に結合する血管新生タンパク質リガンドのアンジオポエチン1の量も減少していたが、ニンジュリン1抗体の陰茎注射を受けた糖尿病マウスでは減少していなかった。高グルコース培地で培養したマウス海綿体内皮細胞ではアンジオポエチン1の量が減少していたが、ニンジュリン1をノックダウンさせたマウス海綿体内皮細胞の場合は減少していなかった。通常のグルコース培地で培養した内皮細胞でニンジュリン1を過剰発現させると、アンジオポエチン1の量は減少した。アンジオポエチン1によるTie2の活性化を阻害するsTie2-Fcを糖尿病マウスに注射すると、ニンジュリン1抗体による内皮細胞マーカー、神経マーカー、神経栄養因子、活性酸素種の量の正常化が妨げられ、糖尿病マウスの勃起機能の改善も妨げられた。このように、ニンジュリン1は神経血管再生を阻害して糖尿病におけるEDに寄与している可能性がある。

J. D. Berndt, When the Moment Is Right, Will You Be Ninjurin? Sci. Signal. 7, ec185 (2014).

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2014年7月8日号

Editor's Choice

生理学
いざという時、あなたはニンジュリンになりますか?

Research Article

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