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がん
間質が腫瘍に薬剤耐性を盛る

Cancer
The stroma gives tumors a dose of drug tolerance

Editor's Choice

Sci. Signal., 28 April 2015
Vol. 8, Issue 374, p. ec105
DOI: 10.1126/scisignal.aab3803

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

E. Hirata, M. Romina Girotti, A. Viros, S. Hooper, B. Spencer-Dene, M. Matsuda, J. Larkin, R. Marais, E. Sahai, Intravital imaging reveals how BRAF inhibition generates drug-tolerant microenvironments with high integrin β1/FAK signaling. Cancer Cell 27, 574–588 (2015). [PubMed]

M. C. Frame, A. Serrels, FAK to the rescue: Activated stroma promotes a “safe haven” for BRAF-mutant melanoma cells by inducing FAK signaling. Cancer Cell 27, 429–431 (2015). [PubMed]

キナーゼBRAFに活性化変異を有するメラノーマは、標的BRAF阻害剤に対して耐性を生じる場合が多い。Hirataらは、生体顕微鏡とBRAF経路バイオセンサーを用いて、マウスにおいてメラノーマ細胞のBRAF阻害剤に対する反応をモニターし、腫瘍細胞が、周囲の線維芽細胞の助けを借りて、薬剤の細胞傷害性を回避することを見出した。メラノーマ細胞は、培養下ではBRAF阻害剤(PLX4720)に感受性を示したが、マウスの皮下で培養した場合には耐性となった。イメージングによって、腫瘍細胞におけるBRAF経路のPLX4720による阻害は、マウスでは投与後数時間のみ発生し、その後急速に無反応になること、また、これらの耐性細胞は、腫瘍の中で宿主マクロファージと間質線維芽細胞が豊富に存在する領域に位置することが示された。コラーゲンマトリックスに埋め込まれた腫瘍組織外植片は、PLX4720誘導性の細胞死に耐性を示した一方、純粋なメラノーマ細胞スフェロイドは耐性を示さなかった。患者から分離されたメラノーマ関連線維芽細胞とコラーゲン中で共培養すると、薬剤感受性のメラノーマスフェロイドが、PLX4720の細胞傷害作用に対して耐性となり、浸潤行動を示した(しかし、マクロファージとの共培養ではこれらの変化はみられなかった)。コラーゲンゲル収縮アッセイにより、PLX4720は、患者由来の線維芽細胞において細胞外マトリックス(ECM)のリモデリング活性を誘導するが、培養下のマウス肺またはヒト皮膚線維芽細胞ではそのような誘導はみられないことが示された。BRAF阻害剤耐性メラノーマを有する患者のいくつかの腫瘍検体では、マトリックスのリモデリングと間質中の線維芽細胞密度の上昇も認められた。コラーゲンゲルの剛性やフィブロネクチンの存在量の増加によって、マウスメラノーマスフェロイドのPLX4720に対する感受性が低下した。メラノーマスフェロイド培養のECMの組成および剛性を変化させる、あるいは、メラノーマ-線維芽細胞共培養をPLX4720で処理すると、メラノーマ細胞において、インテグリン-β1の接着斑への再編と、接着斑キナーゼ(FAK)のリン酸化が誘導された。PLX4720をFAK阻害剤と併用すると、マウスメラノーマ同種移植片と患者由来の異種移植片の両方において、腫瘍退縮が誘導された。このようにこの研究では、腫瘍の微小環境の作用を標的とすることによって、薬剤耐性が抑制される機構が示されている(FrameとSerrelsも参照)。

L. K. Ferrarelli, The stroma gives tumors a dose of drug tolerance. Sci. Signal. 8, ec105 (2015).

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2015年4月28日号

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