T細胞機能の制御におけるジアシルグリセロールキナーゼαおよびζの冗長的および特異的役割

Sci. Signal., 28 April 2015
Vol. 8, Issue 374, p. re6
DOI: 10.1126/scisignal.aaa0974

Isabel Mérida^*, Elena Andrada, Severine I. Gharbi, and Antonia Ávila-Flores

Department of Immunology and Oncology, Centro Nacional de Biotecnología, Consejo Superior de Investigaciones Científicas, Campus de Cantoblanco, E-28049 Madrid, Spain.

* Corresponding author. E-mail: imerida@cnb.csic.es

要約　ジアシルグリセロールキナーゼ（DGK）は、ジアシルグリセロール（DAG）のホスファチジン酸への変換を触媒することによって、DAG媒介シグナルを減弱させる。Tリンパ球では、抗原刺激によるDAGの生成が、シグナル強度とRas-細胞外シグナル制御キナーゼ（ERK）およびタンパク質キナーゼC（PKC）依存経路によるシグナル伝達の強度および持続期間を結び付けている。T細胞の細胞膜上でのDAGの生成がT細胞機能の範囲を定める機序の中心である。DGKαおよびDGKζは、T細胞内の2つの主要アイソフォームであり、いくつかの手法により、それらのT細胞応答への正確な寄与が定義されている。これらのアイソフォームはそれぞれが、抗原刺激下流のDAG制御シグナルの強度を制限するという特異的および冗長的な機能を有する。正常なT細胞ではホメオスタシスおよび機能の維持に寄与するこの能力は、腫瘍が免疫学的監視を逃れるために利用される。DGK活性の修飾は、自己免疫病態の治療または腫瘍誘発性T細胞寛容の克服のためのT細胞機能の治療的操作に新たな観点を提供する。薬理学的介入の新たなツールを開発するためには、Tリンパ球におけるDGKアイソフォーム特異的制御を維持する機序を正確に理解することが欠かせない。

Citation: I. Mérida, E. Andrada, S. I. Gharbi, and A. Ávila-Flores, Redundant and specialized roles for diacylglycerol kinases α and ζ in the control of T cell functions. Sci. Signal. 8, re6 (2015).