昼寝は痛みを遠ざける?

A nap a day keeps the pain away?

Editor's Choice

Sci. Signal. 27 Jun 2017:
Vol. 10, Issue 485, eaao1782
DOI: 10.1126/scisignal.aao1782

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

C. Alexandre, A. Latremoliere, A. Ferreira, G. Miracca, M. Yamamoto, T. E. Scammell, C. J. Woolf,Decreased alertness due to sleep loss increases pain sensitivity in mice. Nat. Med. 23, 768-774 (2017). Google Scholar

1日の睡眠量やカフェイン摂取量を増やすことは、典型的な鎮痛薬よりも慢性疼痛の緩和に有効かもしれない。

要約
慢性疼痛は治療が困難であり、多くの治療法は経時的にその効力を失って高い中毒性をもつことから、重症化や死の転帰をとることさえある。Alexandreらの所見から、患者が実際に必要なものは、若干長めの睡眠と大きいコップ1杯(または2杯)のコーヒーであることが示唆された。この著者らは、ヒトの典型的な夜更かし行動を模倣して、おもちゃと活動によってストレスがかからないように刺激することでマウスの睡眠を不足させた。その結果、重度の急性睡眠不足(9時間以上の不眠)または中等度の慢性睡眠不足(6時間の不眠を5日連続)にしたマウスは、種々の侵害刺激に対する感受性が高まり、このような影響は断続的な睡眠をさせたマウスでは認められなかった。広く使用されている市販の鎮痛薬であるイブプロフェン(非選択的シクロオキシゲナーゼ阻害薬)は、睡眠不足マウスにおける過剰な疼痛応答を遮断しなかった。しかし、カフェイン(ドパミン受容体の発現も促進するA1およびA2Aアデノシン受容体アンタゴニスト)およびモダフィニル(ドパミン作動性神経伝達を促進する)は十分な安静状態においたマウスにおいてこれらの応答を減弱させたが、実質的な鎮痛作用は示さなかった。さらに、モルヒネの鎮痛作用は睡眠不足により低下した。通常の睡眠時間にしたとき、過剰な感覚応答は消失した。睡眠不足と慢性疼痛は、急速に顕在化している公衆衛生上の2つの問題である。これらはしばしば1人の患者に同時に認められる。そして現在、睡眠不足によりドパミン受容体の発現が低下することから、ドパミン作動性神経伝達の抑制と関連していることが示唆されている。この研究から、カフェインなどドパミン作動性シグナル伝達を促進する物質が、一般的な鎮痛薬よりも有効である可能性が明らかにされたが、睡眠不足の者でのみ認められるのかもしれない。この研究では、被験者の睡眠不足は臨床試験における鎮痛作用の評価に影響する可能性があることも示唆している。

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2017年6月27日号

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