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RMS治療のためのエピジェネティックな戦略

An epigenetic tactic to treat RMS

Editor's Choice

Sci. Signal. 29 Aug 2017:
Vol. 10, Issue 494, eaap7466
DOI: 10.1126/scisignal.aap7466

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

B. E. Gryder, M. E. Yohe, H.-C. Chou, X. Zhang, J. Marques, M. Wachtel, B. Schaefer, N. Sen, Y. Song, A.Gualtieri, S. Pomella, R. Rota, A. Cleveland, X. Wen, S. Sindiri, J. S. Wei, F. G. Barr, S. Das, T. Andresson, R.Guha, M. Lal-Nag, M. Ferrer, J. F. Shern, K. Zhao, C. J. Thomas, J. Khan, PAX3-FOXO1 establishes myogenic super enhancers and confers BET bromodomain vulnerability. Cancer Discov. 7, 884-899(2017).
Abstract/FREE Full Text  Google Scholar

BET阻害剤は一部の横紋筋肉腫に有効な治療薬かもしれない。

要約
胞巣型横紋筋肉腫(RMS)は、筋前駆細胞(筋芽細胞)が分化できずに増殖を続ける、侵襲性の小児がんである。特に侵襲性が高いRMAのサブセットは、転写因子PAX3(胚の筋形成を誘導する)およびFOXO1から構成されるキメラ融合タンパク質により惹起される。Gryderらは、PAX3-FOXO1融合体の発がん性と闘う方法を発見した。彼らは、PAX3-FOXO1が、クロマチンリーダーであるBRD4をRMS関連遺伝子付近にあるクロマチンのエンハンサー領域に動員することを見出した。これらの領域は、アセチル化および脱メチル化ヒストンH3K27の形でクロマチンのリモデリングを示し、遺伝子発現が顕著に亢進している領域、いわゆる「スーパーエンハンサー」を生成していた。これはPAX3-FOXO1融合タンパク質自体、転写因子であるMYOD1およびMYCN、さらにMYODおよびMYCN活性を通したもうひとつの筋原性転写因子MYOGの生成の亢進と関連していた。BRD4はPAX3-FOXO1融合タンパク質の安定性と機能に不可欠であった。低分子JQ1によりBRD4を阻害すると、PAX3-FOXO1タンパク質(転写産物ではなく)の存在量、RMS関連遺伝子の発現、さらにはマウスにおいてRMS腫瘍の増殖が減少した。これらの所見から、BET阻害剤は、この侵襲性の高いタイプのRMSに対する治療選択肢になり得ることが明らかとなった。

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2017年8月29日号

Editor's Choice

RMS治療のためのエピジェネティックな戦略

Research Article

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