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マスター病原性調節因子PhoPの酸性pHでの活性化はサルモネラ特異的タンパク質UgtLを必要とする

Activation of master virulence regulator PhoP in acidic pH requires the Salmonella-specific protein UgtL

Research Article

Sci. Signal. 29 Aug 2017:
Vol. 10, Issue 494, eaan6284
DOI: 10.1126/scisignal.aan6284

Jeongjoon Choi1 and Eduardo A. Groisman1,2,*

1 Department of Microbial Pathogenesis, Yale School of Medicine, 295 Congress Avenue, New Haven, CT 06536, USA.
2 Yale Microbial Sciences Institute, P.O. Box 27389, West Haven, CT 06516, USA.

* Corresponding author. Email: eduardo.groisman@yale.edu

要約
ファゴソーム内部などの酸性条件は、細胞内病原体であるサルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)を刺激し、病原性遺伝子を活性化する。センサーであるPhoQは、病原性調節因子PhoPをリン酸化して活性化することにより、弱酸性pHに応答する。このPhoP/PhoQ二成分系は、グラム陰性細菌の一部で保存されている。PhoQは、弱酸性pHでPhoPを活性化するのに十分であると考えられている。しかしながら、われわれは、サルモネラ・エンテリカとサルモネラ・ボンゴール(Salmonella bongori)の分岐前にサルモネラ菌(Salmonella)に水平獲得されたサルモネラ特異的タンパク質UgtLもまた、PhoQが弱酸性pH条件下でPhoPを活性化するのに必要であるが、PhoQが低Mg2+または抗菌ペプチドC18Gに応答してPhoPを活性化するのには必要でないことを見出した。UgtLは、PhoQの自己リン酸化を刺激して、PhoPに対するリン酸供与体の量を増加させることによりリン酸化PhoPの存在量を増加させた。ugtLの欠損は、サルモネラ菌の病原性を減衰させ、酸性pHに反応しない型のPhoQをもつ株においてPhoPの活性化をさらに低下させた。これらのデータは、サルモネラ菌が弱酸性pHを経験するとき、PhoPの活性化は、pHを検出するのにPhoQを、PhoQ応答を増幅するのにUgtLを必要とすることを示唆している。われわれの発見は、外来遺伝子の獲得が、いかに祖先の制御システムのシグナル応答性を強化しうるかを明らかにする。

Citation: J. Choi, E. A. Groisman, Activation of master virulence regulator PhoP in acidic pH requires the Salmonella-specific protein UgtL. Sci. Signal. 10, eaan6284 (2017).

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