• ホーム
  • がんにおけるNDRG1の発現はDNA損傷修復への依存性とキナクリン(quinacrine)に対する感受性をもたらす

がんにおけるNDRG1の発現はDNA損傷修復への依存性とキナクリン(quinacrine)に対する感受性をもたらす

NDRG1 expression in cancers confers dependence on DNA damage repair and sensitivity to quinacrine

Research Article

SCIENCE SIGNALING
21 Jul 2026 Vol 19, Issue 947
DOI: 10.1126/scisignal.adv4272

Garik V. Mkrtchyan1, *, Alexander Veviorskiy2, Zarah G. Meisen1, Michael A. Petr1, †, Tobias Clausen Mercurio1, Daniela Bakula1, Peter Sykora3, 4, Li-Wei Kuo4, Dean S. Rosenthal4, Cynthia M. Simbulan-Rosenthal4, Peiran Zhang5, Qiuqiong Tang5, Andreyan N. Osipov6, Ivan V. Ozerov1, Alex Aliper2, Alex Zhavoronkov2, 7, 8, 9, Morten Scheibye-Knudsen1

  1. 1 Center for Healthy Aging, Department of Cellular and Molecular Medicine, University of Copenhagen, Copenhagen, Denmark.
  2. 2 Insilico Medicine AI Limited, Abu Dhabi, UAE.
  3. 3 Amelia Technologies LLC, Washington, DC 20001, USA.
  4. 4 Department of Biochemistry and Molecular and Cellular Biology, Georgetown University School of Medicine, Washington, DC 20057, USA.
  5. 5 Insilico Medicine Suzhou Ltd., Suzhou, China.
  6. 6 CAN DLE Synchrotron Research Institute, 31 Acharyan, 0040 Yerevan, Armenia.
  7. 7 Insilico Medicine Hong Kong Limited, Hong Kong Science and Technology Park, Hong Kong, China.
  8. 8 Insilico Medicine Canada Inc., 3710-1250 René-Lévesque Blvd. W, Montreal, Quebec H3B 4W8, Canada.
  9. 9 Buck Institute for Research on Aging, Novato, CA 94945, USA.
  10. * Corresponding author. Email: garik@sund.ku.dk
  11. † Present address: Tracked Biotechnologies LLC, Manassas, VA, USA, and Tracked Biotechnologies ApS, Copenhagen, Denmark.

Editor’s summary

DNA損傷修復は細胞の生存に不可欠であり、がん治療における魅力的な標的となる。Mkrtchyanらは、ストレス応答タンパク質NDRG1がDNA損傷応答(DDR)において治療上利用可能な役割を果たしていることを明らかにした。ハイスループットスクリーニングにより、がん細胞株におけるNDRG1の高発現は、抗マラリア薬のキナクリン(quinacrine)に対する感受性と相関し、DNA損傷部位への重要なDDRタンパク質のユビキチン化依存性動員を阻害することが明らかになった。DNA修復関連遺伝子MLH1およびPARP3に変異を有する結腸直腸がん細胞が、キナクリンまたはNDRG1ノックダウンにとくに感受性を示した。これらの結果は、NDRG1の発現に基づきDDRを標的とする戦略の可能性を明らかにしている。—Leslie K. Ferrarelli

要約

がん細胞は、DNA修復を利用して、急速な増殖や抑制されたチェックポイントによって誘発された損傷およびエラーを乗り越える。したがって、DNA修復タンパク質の1つが欠損すると、腫瘍はその他の修復経路の阻害に対してより感受性になる可能性がある。今回われわれは、in silico手法とハイコンテンツな遺伝子および細胞生存スクリーニングを用いて、抗マラリア薬のキナクリンが、複数のがん細胞株において、DNA損傷応答(DDR)を阻害することを見出した。キナクリンは、ストレス応答タンパク質のNDRG1と主要なセグレガーゼであるVCPとの相互作用を妨げることにより、重要なDDRタンパク質53BP1のDNA損傷部位への動員を媒介するE3ユビキチンリガーゼRNF8やその他のタンパク質の分解を促進した。このような53BP1動員の阻害によって、DNA損傷マーカーであるγH2AXが増加した。患者の腫瘍におけるNDRG1の高発現は生存率不良と相関し、様々ながん細胞株における高発現はキナクリン感受性と相関した。結腸直腸がん細胞は、NDRG1の薬理学的または遺伝的阻害に対してとくに脆弱であり、NDRG1の高発現とMLH1およびPARP3の変異によって合成致死に至った。われわれの結果は、大腸がんにおいて治療に利用できる可能性のある遺伝子マーカーの組み合わせを同定するとともに、異なる種類のがんにおける同様の発見のためのプラットフォームを提供している。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2026年7月21日号

Research Article

がんにおけるNDRG1の発現はDNA損傷修復への依存性とキナクリン(quinacrine)に対する感受性をもたらす

治療効果と副作用の低減が見込まれる新規サイケデリックのキパジン(quipazine)誘導体の設計

最新のResearch Article記事

2026年07月21日号

がんにおけるNDRG1の発現はDNA損傷修復への依存性とキナクリン(quinacrine)に対する感受性をもたらす

2026年07月21日号

治療効果と副作用の低減が見込まれる新規サイケデリックのキパジン(quipazine)誘導体の設計

2026年07月14日号

E3リガーゼTRIM13はSTIM1量およびIRE1α依存性小胞体ストレス応答を低下させることによりLPS誘導性炎症を抑制する

2026年07月14日号

グリセロール3-リン酸がmTORC1のGATOR2依存性制御を通じて脂質代謝を活性化する

2026年07月07日号

キナーゼTBK1およびIKKεの欠損はIFN-γを介する炎症性細胞死プログラムを通じてT細胞殺傷に対する標的がん細胞の感受性を高める