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淋菌(Neisseria gonorrhoeae)との密接な遭遇

Intimate encounters with Neisseria gonorrhoeae

Editor's Choice

Sci. Signal. 09 Jun 2020:
Vol. 13, Issue 635, eabd1493
DOI: 10.1126/scisignal.abd1493

Annalisa M. VanHook

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

P. Muenzner, C. R. Hauck, Neisseria gonorrhoeae blocks epithelial exfoliation by nitric-oxide-mediated metabolic cross talk to promote colonization in mice. Cell Host Microbe 27, 793-808.e5 (2020). Google Scholar

J. P. Dillard, Hold it right there! Gonococci preserve epithelium integrity during intimate adherence. Cell Host Microbe 27, 685-686 (2020). Google Scholar

宿主細胞に接着することで淋菌のNO産生が限局化され、上皮の剥離が抑制される。

要約

生理的な上皮剥離は上皮の恒常性を維持し、病原体の定着から保護している。淋菌(Neisseria gonorrhoeae)は上皮細胞を刺激し、通常は内皮細胞が産生しているマトリックス結合タンパク質であるエンドグリン(ENG、別名CD105)を産生させることで、剥離を抑制している。このためには、CEACAMファミリーの宿主細胞接着分子に結合するOpaファミリーなどの淋菌接着タンパク質を必要とする。MuenznerとHauckらは、培養ヒト293T細胞において淋菌誘発性のENG産生のためにはCEACAM分子の関与が必要であるが、CEACAMの下流シグナル伝達は不要であることを見いだした。下流シグナル伝達が不要である代わりに、ENG産生のためには、細菌による一酸化窒素(NO)の産生、並びに宿主細胞における可溶性グアニル酸シクラーゼG(sGC)と古典的プロテインキナーゼG(PKG)のシグナル伝達経路が必要であった。これらによって、cAMP応答エレメント結合タンパク質(CREB)によるENG発現が活性化された。NOを産生する淋菌の外膜酵素であるAniAを精製してin vitroで添加したとところ、上皮の剥離が抑制された。また、ヒトCEACAMを発現しているトランスジェニックマウスを用いた淋菌膣感染モデルにおいて、精製したAniAを投与したとき、CEACAMと結合しない変異型淋菌は剥離を抑制し感染を確立できるようになったが、NOを産生できない変異型AniAは、そのような作用を示さなかった。同様にsGCを薬理学的に活性化すると、CEACAM非結合性の淋菌でも、剥離を抑制して感染を確立できるようになった。また、sGCの薬理学的な阻害は、Opa産生性淋菌が剥離を抑制して感染を確立することを妨げた。これらの所見は、宿主細胞のごく近傍で細菌がNOを集中して産生するためには、上皮細胞への淋菌の密接な接着が必要であることを意味している。細菌と宿主細胞のこのような密接な関係は、CEACAMに結合できるその他の病原体の定着にも関係しているかもしれない(Dillardのcommentary参照)。

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2020年6月9日号

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