インスリンとTreg細胞

Insulin and Treg cells

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING 7 Sep 2021
Vol 14, Issue 699
DOI: 10.1126/scisignal.abm2485

JOHN F. FOLEY

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: jfoley@aaas.org

Y. Li, Y. Lu, S.-H. Lin, N. Li, Y. Han, Q. Huang, Y. Zhao, F. Xie, Y. Guo, B. Deng, A. Tsun, J. Du, D. Li, J. Sun, G. Shi, F. Zheng, X. Su, S. Duan, S. G. Zheng, G. Wang, X. Tong, B. Li, Insulin signaling establishes a developmental trajectory of adipose regulatory T cells. Nat. Immunol. 22, 1175-1185 (2021).
CROSSREF  PUBMED  GOOGLE SCHOLAR

マウス脂肪組織のインスリンシグナル伝達が制御性T細胞の分化を駆動する。

要約

脂肪組織では、制御性T(Treg)細胞がエフェクターT(Teff)細胞の機能を阻害し、炎症を抑え、インスリン感受性を保つ。脂肪組織中のTreg細胞は、転写制御因子PPAR-γを豊富に含み、受容体ST2を介して機能するサイトカインIL-33に応答して増殖する。Liらは、老化した脂肪組織に蓄積したTreg細胞がマウスのインスリン抵抗性を抑制できないことに着目し、Treg細胞が多様な生理的アウトカムを有する複数のサブセットへと経時的に多様化するかどうかを調べた。単一細胞ATACシークエンシングと、単一細胞におけるRNAとT細胞受容体(TCR)のペアシークエンシングによって、CD73hiST2loとCD73loST2hiで特徴づけられる2つのTreg細胞クラスターが同定され、後者はPPAR-γに依存した。TCR配列解析では、Treg細胞はCD73hiST2loサブセットからCD73loST2hiサブセットへと経時的に遷移することが示された。老化と肥満はいずれも、脂肪組織中のCD73loST2hi Treg細胞数の増加と、CD73hiST2loサブセットによって産生される抗炎症性代謝産物アデノシン量の減少を引き起こした。さらに、特異的ノックアウトマウスを用いた実験では、CD73hiST2lo Treg細胞からCD73loST2hi Treg細胞への遷移はインスリンに依存することが示され、インスリンはPPAR-γの発現を誘導した。インスリンに誘導されるCD73loST2hi Treg細胞サブセットの生成は、HIF-1αおよびMed23を含有する転写複合体に依存した。CD73loST2hi Treg細胞サブセットに比べて、CD73hiST2lo Treg細胞サブセットは局所的な炎症を抑え、Teff細胞の活性の優れた抑制因子となり、ベージュ脂肪の新生をもたらし、インスリン感受性を向上させた。まとめると、これらの結果は、脂肪組織においてインスリンがTreg細胞の分化を駆動する機構を浮き彫りにするものであり、加齢性または食事性のインスリン抵抗性に対する治療法の開発につながる可能性がある。

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