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β-アレスチンテールのねじれ

A twist in β-arrestin’s tail

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
24 May 2022 Vol 15,Issue 735
DOI: 10.1126/scisignal.add1034

JOHN F. FOLEY

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: jfoley@aaas.org

W. B. Asher, D. S. Terry, G. G. A. Gregorio, A. W. Kahsai, A. Borgia, B. Xie, A. Modak, Y. Zhu, W. Jang, A. Govindaraju, L.-Y. Huang, A. Inoue, N. A. Lambert, V. V. Gurevich, L. Shi, R. J. Lefkowitz, S. C. Blanchard, J. A. Javitch, GPCR-mediated β-arrestin activation deconvoluted with single-molecule precision. Cell 185, 1661-1675.e16 (2022).
CROSSREF  PUBMED  GOOGLE SCHOLAR

GPCRがβ-アレスチンを動員して活性化するにはアゴニスト結合と受容体Cテールのリン酸化の両方が必要である

リガンドが結合すると、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)はコンフォメーション変化を起こし、Gタンパク質と相互作用して細胞内にシグナルを伝達する。すると、GPCRは、GPCRキナーゼ(GRK)によってリン酸化されるようになり、β-アレスチンと呼ばれる足場タンパク質の動員をもたらす。β-アレスチンは受容体の内在化と脱感作を仲介するが、Gタンパク質により活性化されるものとは異なるシグナル伝達経路を刺激する。Gタンパク質またはβ-アレスチンを介したシグナル伝達経路のいずれかを特異的に活性化できる薬剤の開発に大きな関心が寄せられている。Asherらは、精製タンパク質の全反射蛍光(TIRF)ベースの一分子蛍光共鳴エネルギー移動(smFRET)のin vitro解析を用いて、β-アレスチン1活性化の機構を調査した。smFRET解析は、基底条件下では、β-アレスチン1がそのCテールがN末端の溝に固定されている、不活性で自己抑制されたコンフォメーションをとることを示唆した。GRKリン酸化GPCR Cテールの合成リン酸化ペプチド模倣物の存在下で、β-アレスチン1の CテールはN末端領域から解放されたが、対応する非リン酸化受容体ペプチドでは効果がなかった。しかしながら、GRKリン酸化キメラGPCRの存在下で、β-アレスチン1は自己抑制型コンフォメーションのままであった。完全アゴニストの添加は、濃度依存的にβ-アレスチン1の活性化を増加させ、受容体へのアゴニストの結合がGRK-リン酸化受容体テールをβ-アレスチン1によりアクセスしやすくしたことを示唆した。β-アレスチン1 Cテール解放の程度は、アゴニスト依存的な受容体活性化が正のアロステリック調節因子により増強され、また、受容体リン酸化のパターンに依存して調節された場合に増加した。著者らは、HEK293細胞を用いたバイスタンダーバイオルミネッセンス共鳴エネルギー伝達(BRET)ベースのアッセイを通じて、β-アレスチン2の活性化にも注目した。BRET解析は、GPCR β2ARのアゴニスト活性化およびGRK媒介リン酸化の両方が、細胞膜へのβ-アレスチン2の動員に必要であることを示した。β-アレスチン2の動員は、C末端テールを欠く短縮型β2ARへのアゴニスト結合に応答して増加し、このことは受容体Cテールが自己抑制性であることを示唆した。合わせると、これらの知見は、受容体Cテールのアゴニズムと解放が、リン酸化GPCRによるβ-アレスチン活性化の強度を決定することを示唆し、これは、β-アレスチン依存的シグナル伝達を特異的に標的とする薬剤の設計に情報を提供するのに役立つ可能性がある。

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