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バクテロイデスは脂肪肝と戦う

Bacteroides fight fatty liver

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
28 Jun 2022 Vol 15, Issue 740
DOI: 10.1126/scisignal.add6194

ANNALISA M. VANHOOK

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: avanhook@aaas.org

H. H. Le, M.-T. Lee, K. R. Besler, E. L. Johnson, Host hepatic metabolism is modulated by gut microbiota-derived sphingolipids. Cell Host Microbe 30, 798-808.e7 (2022).

E. M. Brown, Fatty liver? Microbiome sphingolipids to the rescue. Cell Host Microbe 30, 755-757 (2022).

常在菌からのスフィンゴ脂質は肝臓に移動し脂肪肝のマウスモデルで脂質蓄積を正常化する

常在菌や病原性微生物は、微生物叢を形成し、宿主の免疫、代謝、および生理機能に影響を与える多様な代謝物を生成する。これらの中には、腸を炎症から保護し、肝臓での新たなスフィンゴ脂質生合成を減少させる、常在菌のバクテロイデス(Bacteroides)種によって作られるスフィンゴ脂質がある(Brownによる解説を参照)。Leらは、バクテロイデス・タイオタオミクロン(Bacteroides thetaiotaomicron)を、スフィンゴ脂質の生合成時に組み込まれるパルミチン酸誘導体と培養する方法を開発し、in vitroおよびマウスで追跡できるようになった。これらの培養物を食餌誘発性脂肪肝のマウスに経口投与した場合、細菌性スフィンゴ脂質の特定のサブセット(ホモセリンベースのジヒドロセラミド)のみが結腸と肝臓に播種された。脂質蓄積を誘導するために高ショ糖条件下で培養された肝細胞において、バクテロイデス・タイオタオミクロンから単離されたホモセリンベースのジヒドロセラミドは、細胞呼吸を増強し、脂肪酸代謝および酸化的リン酸化の増加を示す遺伝子発現シグネチャを活性化した。脂肪肝のマウスでは、野生型バクテロイデス・タイオタオミクロンの強制経口投与により、肝臓での脂質蓄積が逆転し、肝臓トリグリセリドが正常化され、セラミド生合成と脂肪酸酸化に関連する遺伝子の発現が促進された。スフィンゴ脂質生合成に欠陥のある変異体バクテロイデス・タイオタオミクロンを脂肪肝マウスに投与しても、肝臓の脂質蓄積または利用に影響がなかった。これらのスフィンゴ脂質が代謝基質として作用することによってのみその効果を発揮するのか、それとも他の機構を介して遺伝子発現を変化させるのかは、まだ解明されていない。これらの知見は、宿主の脂質代謝の調節における細菌のスフィンゴ脂質の直接的な役割を同定し、これらの分子による治療の可能性を示唆している。

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