• ホーム
  • CMTM4がIL-17シグナル伝達をより複雑にする

CMTM4がIL-17シグナル伝達をより複雑にする

CMTM4 makes IL-17 signaling more complex

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
29 Nov 2022 Vol 15, Issue 762
DOI: 10.1126/scisignal.adf9180

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: jfoley@aaas.org

D. Knizkova, M. Pribikova, H. Draberova, T. Semberova, T. Trivic, A. Synackova, A. Ujevic, J. Stefanovic, A. Drobek, M. Huranova, V. Niederlova, O. Tsyklauri, A. Neuwirth, J. Tureckova, O. Stepanek, P. Draber, CMTM4 is a subunit of the IL-17 receptor and mediates autoimmune pathology. Nat. Immunol. 23, 1644-1652 (2022).

膜貫通タンパク質がIL-17受容体サブユニットを介して細胞膜局在とシグナル伝達を促進する

炎症性サイトカインのインターロイキン17A(IL-17A)は、真菌感染および細菌感染に対する免疫応答を仲介する。IL-17シグナル伝達の調節不全は、慢性炎症と、乾癬などの自己免疫疾患を促進する。IL-17A二量体は、IL-17受容体AおよびC(IL-17RAおよびIL-17RC)サブユニットに結合および架橋結合し、アダプタータンパク質ACT1やE3ユビキチンリガーゼTRAF6などの他のシグナル伝達構成要素の動員を刺激して、シグナル伝達を仲介する。Knizkovaらは、IL-17RAサブユニットを含有するIL-17Rシグナル伝達複合体よりも発現パターンが限定されているIL-17RCサブユニットを含有するIL-17Rシグナル伝達複合体と相互作用するタンパク質を同定した。遺伝子組換えIL-17A存在下で培養したマウス間質系ST2細胞の質量分析によって、4本の膜貫通ヘリックスを含むタンパク質であるCMTM4を、IL-7Rシグナル伝達複合体の構成要素として同定した。CMTM4は恒常的にIL-17RCと会合し、この相互作用は両タンパク質の膜貫通ドメインを介していた。マウス細胞およびヒト細胞でCMTM4を欠損させると、CMTM4が十分量存在する細胞に比べて、細胞表面でのIL-17RCの発現量が減少し、これにはIL-17RCの不適切なグリコシル化が関連していた。CMTM4欠損マウス細胞株とCMTM4欠損ヒト細胞株をIL-17Aで処理すると、ACT1およびTRAF6のIL-17R複合体への動員が損なわれ、炎症性サイトカインをコードするIL-17応答遺伝子の発現量が減少した。IL-17シグナル伝達におけるこのような欠損は、レトロウイルスを用いてCMTM4を発現させると回復した。公開されているRNA配列データベースの解析では、ヒトの皮膚および小腸でCMTM4IL17RCが同時発現していることが示された。ケラチノサイト(角化細胞)のIL-17シグナル伝達によって駆動される乾癬モデルでは、Cmtm4欠損マウスのほうが野生型マウスに比べて炎症が軽く、皮膚病変の重症度も低かった。まとめると、これらの知見は、CMTM4がIL-17Rシグナル伝達複合体の重要な構成要素であることを示しており、IL-17によって媒介される自己免疫疾患を治療するための標的候補となる可能性を示唆している。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2022年11月29日号

Editor's Choice

CMTM4がIL-17シグナル伝達をより複雑にする

Research Resources

近位尿細管細胞の頂端膜機能および腎臓による栄養素の回収のVPS34依存性制御

最新のEditor's Choice記事

2024年4月9日号

伸張を感知して食欲を抑える

2024年4月2日号

アルツハイマー病に関連する脂肪滴

2024年3月26日号

傷つけるのではなく助けるようにミクログリアにバイアスをかける

2024年3月19日号

痒みを分極化する

2024年3月12日号

抗体の脂肪への蓄積による老化