- ホーム
- 脂肪と闘うクラブ細胞
脂肪と闘うクラブ細胞
Fat-fighting club cells

SCIENCE SIGNALING
25 Aug 2026 Vol 19, Issue 952
DOI: 10.1126/scisignal.ael6285
Annalisa M. VanHook
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA.
Corresponding author. Email: avanhook@aaas.org
J. Jiang, C. Liang, Z. Wang, Z. Lu, W. Yu, X. Wang, C. Zhang, Z.-N. Zhang, B. Luan, Pulmonary cold sensing through Club cells triggers adipose thermogenesis to ameliorate obesity. Dev. Cell 61, 1685–1698.e7 (2026).
A. D. J. Tu, D. F. Mosher, J. A. Simcox, A TREK that activates thermogenic adipose tissue by sensing cold air in the lung. Dev. Cell 61, 1601–1603 (2026).
冷気の呼吸がクラブ細胞からの熱産生を刺激するホルモンの放出を引き起こす
低温曝露は褐色脂肪組織(BAT)における熱産生を刺激する。Jiangらは、マウスでは冷気の吸入だけで十分にBATおよび皮下白色脂肪組織(scWAT)における熱産生が誘導されることを見いだした。この作用は、肺のクラブ細胞およびそれによるKCNK2(別名「TREK-1」)の発現に依存していた。KCNK2は、低い静止膜電位を維持するK+排出チャネルであり、寒冷曝露時には閉じて膜の脱分極とCa2+流入をもたらす。冷気の吸入は、クラブ細胞において膜タンパク質FNDC5の産生を促進するKCNK2依存性Ca2+上昇を引き起こし、さらにFNDC5の切断により放出されBATによる熱産生を刺激するペプチドホルモンである循環血中のイリシンの増加を引き起こした。クラブ細胞におけるFNDC5の欠損は、BATおよびscWATにおける冷気誘導性の熱産生、ならびに熱産生遺伝子の発現を阻害した。In vitroの実験から、冷気はクラブ細胞膜の脱分極、Ca2+依存性のFndc5発現、およびイリシン放出を引き起こし、ひいては初代培養脂肪細胞において熱産生遺伝子の発現を刺激することが確認された。フルオキセチン(プロザック)はセロトニントランスポーターを阻害する抗うつ薬であるがKCNK2アンタゴニストでもあり、体重の減少を促進することができる。マウスにフルオキセチンを噴霧して気管内投与したとき、冷気吸入時の作用が再現され、高脂肪食を給餌されたマウスにおいて体重増加が抑制された。これらの知見は、クラブ細胞を介した冷気感知がどのような機構で生物の代謝に影響できるのかを明らかにし(Tuらの論説参照)、重要な感覚器としての肺の存在をさらに浮き彫りにしている。
2026年8月25日号






