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変異型BRAFを分解する分子接着剤

A molecular glue to take down mutant BRAF

Editors' Choice

SCIENCE SIGNALING
14 Jul 2026 Vol 19, Issue 946
DOI: 10.1126/scisignal.aek4190

Leslie K. Ferrarelli

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA.

Corresponding author. Email: lferrare@aaas.org

X. Lu, X. Wang, Z. Yang, X. Wang, L. Wang, C. Xu, I.-C. Lo, C. Geng, L. Wang, Y. Pu, K. Zhang, Z. Zhu, L. Ye, J. Huang, X. Wei, F. Bai, Y. Zhu, X. Qian, H. Dou, H. Su, Y. Cang, Molecular glue degraders of HuR suppress BRAF-mutant colorectal cancer. Nature, 10.1038/s41586-026-10613-5 (2026).

分子接着剤分解薬がmRNAスプライシングを妨害することによって薬剤耐性大腸がんの変異型BRAFに対処する。

キナーゼBRAFの活性化変異は、酵素学的BRAF阻害薬にほとんど反応しない高悪性度大腸がん(CRC)のサブセットを駆動し、患者には有効な治療選択肢が残されていない。そのような難治性の標的に対する新たな戦略として登場したのが、標的タンパク質分解である。分子接着剤分解薬(MGD)は、E3ユビキチンリガーゼ(典型例はセレブロン)に結合し、病原性タンパク質と相互作用可能な表面を生み出すことにより、その分解を促進する低分子である。Luらは、分子接着剤分解薬を用いてCRCにおける変異型BRAFの発現を間接的に抑制する方法を見出した。RNA結合タンパク質HuR(別名ELAVL1)は、標的mRNAのプロセシング、安定性、翻訳を制御し、HuR自体がCRCや他の種類のがんの創薬標的となっている。著者らは、化学ライブラリースクリーニングとプロテオミクスを組み合わせて、セレブロンと相互作用する化合物とその分解標的を同定した。用量依存的、時間依存的、かつセレブロン依存的な分解を特徴とする有力候補のうちの一つが、HuRであった。構造活性相関研究によって、より強力で特異的なセレブロンベースのHuR MGDが生み出された。培養CRC細胞株では、このHuR MGDに対する細胞感受性はBRAF変異状態と相関し、野生型BRAFを有する細胞は耐性を示した。BRAF変異型CRC異種移植マウスでは、経口胃管投与によるHuR MGD治療によって腫瘍の増殖がかなり抑制された。異種移植腫瘍のさらなる分析では、HuR MGDは変異型BRAFのmRNAの量や安定性を変化させることなくタンパク質量を減少させることが明らかになった。一方で、このMGDはHuR分解を介して、ヒトBRAF mRNA前駆体のエクソンスキッピングを促進し、その翻訳を損なわせた。このBRAF欠損と同時に、MAPK経路のタンパク質量と活性が低下し、細胞周期がG1期で停止した。HuRの別の基質、なかでも血管新生促進因子をコードするVEGFA mRNAは、MGD処理された異種移植片で減少していて、これらの調節不全はin vivoでの作用にも関与していた可能性がある。培養細胞株を用いた数ヵ月にわたる用量漸増アッセイでは、BRAF阻害薬耐性株のHuR MGDに対する感受性は保持され、in vivoでBRAF阻害薬と組み合わせると、その相乗効果によって腫瘍の増殖が阻害された。耐性機構は複雑かつ不均一であるため、このHuR MGDの有効性を評価するには、患者由来の腫瘍を用いたより広範な試験が必要であるが、これらの知見は、このHuR MGDがいずれはBRAF変異型CRC患者のための精密な治療選択肢になりうることを示している。

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